思い出す。
僕の手に触れた店長の指先はやさしくて、なんだかすごく愛しかった。
「桔梗くんに素敵なものをさしあげましょう。この鍵で扉をあけて、きょうは店でお留守番をお願いします」
宝箱の鍵をもらったみたいですごく嬉しかったのに。店長のいない店は、ただ広いばかりで。花たちの呼吸さえ聞こえそうで。
「てんちょう」
握りしめたそれは冷たくて、僕の哀しみに少し似ていた。
〆
20080809
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