全知全能を宿す君は、とてもやさしく、きっとたぶん僕に似ていた。

「暑いね」
「蒸すね」
「動きたくないね」
「動けないね」

まだ夏も始まらない六月の夕暮れ。
僕は、君と交わした言葉のひとつひとつ、どれもこれも失いたくないよ。

「このままここにいたら、風化してくかな」
「雪見が呆れて迎えに来る。」
「もしくは帷先生が血相変えて走ってくるか」
「日常」
「現実」

笑いあって、それでもまだ、僕らは動かなかった。

「星だ」
「星だ」

どこかの誰かが僕たちのこと、あの星みたいだって言ったんだ。
遠く離れた遥か宇宙。
輝くあの星の名を、君は知っていた?










title/meg
20090322
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