がさがさと耳障りな音。
布団に入りかれこれ二時間半。眠れない理由を寝心地の悪さだと自分に言い聞かせて、もう何十回目の寝返り。目をつむれば、ざくざくと枕に響く心臓の音。これを、兵隊さんの歩く音に似ていると言っていたのは誰だっただろう。誰だったろう。誰だったろう。なにを考えてもどんなに逸らしても、結局はあのひとのことばかりが浮かんできて。眠ることより息をすることより心臓が血液を送り出すことよりも、自分が生きていく上で当たり前の営みのように、それは日々行われている。

「どうしたらいいんだろうね、まったく」

ね、土方さん。
(届かない届かせない不憫でかわいそうで滑稽なこの感情は、きっともう僕を造る細胞のひとつになったんだろう。)










20090506
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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