「ねぇ君さ、僕に何て呼ばれたい?」

不思議な質問だなぁと思った。
それは、あんまりにもやさしい響きで、あんまりにもやわらかい声で。雲雀さんの顔がこんなに近くになかったらきっと聞き逃してた。

「じゃあツナで。」
「なにそれ」
「ダメでした?」
「僕は山本武でもなければ獄寺隼人でもないんだけど」
「えーと、」
「僕はぼくだよ」

なんとなく、それは雲雀さんが俺にみせた、ちっちゃなちっちゃな独占欲な気がして。

「じゃあ何て呼んでもらえるんですか?」
「さぁ。知らない」
「それなら、呼んでもらえるまでここに居ます」
「ふーん。じゃあ一生呼ばないことにするよ」
「はい。じゃあ一生俺は雲雀さんのとなりですね。迷惑ですか?」
「ワォ」

きょうの雲雀さんは、なんだか可愛い。

何かをごまかすように雲雀さんが歌う校歌は、やっぱりやさしい響きで、やわらかい声で。俺は意地でもこの声に、名前を呼ばれたくなった。










20100113
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