夜風がひんやりと肌を撫でる。兄さんは暑い夜が大の苦手やから、こんな夜はきっと気持ちよく眠れるはず。
星がたくさん見えるし、明日はきっとええお天気。そしたら昼は河原へ行って、草の上でごろごろして。町をぐるりと一周する間に、すこしのお賽銭でも頂けたりしたらええんやけど。そしたらきっときっと、ええ日やねって笑って帰れるから。
そいでまた二人並んで夜風に吹かれて、大事な大事な神社を守って眠りましょ。
「眠れねぇのか」
「なあ兄さん、ええ風やんなあ」
「そうだな」
「おやすみなさい」
「風邪、ひくなよ」
あした目が覚める時には、ぽかぽかの太陽さんが兄さんをやさしく包みますように。
ひとつひとつ祈りながら、ふたつみっつ願いながら。
title/蘇生
120306