「ノックぐらいしろ」

玄関が開き、ばちりと目が合う。咄嗟に隠したスーパーのチラシには、檸檬はどうやら気づいていない。悟られぬように息をつくと、何も置かれていないテーブルの端に、不自然に転がるサインペンを見つけ、思わず舌打ちをする。

「なにか用か」
「お前にはこれをやろう」「いらん」
「まあまあよく見ろよ」

差し出されたのは、うまい棒だった。それも、ポタージュ味の。いつだったか、不覚にもうまいとこぼしたのを、覚えていたのだろうか。


「蜜柑は本ばかり読むインドア派の機関車です。ポタージュ味のうまい棒がすきで、たべるとうまいと呟きます。だ。」
「おい、馬鹿にしてるのか」

普段は読まないスーパーのチラシ。たまたま見つけたお菓子の特売に、あとで買い貯めしておこうとか柄にもなくこいつの事が頭をよぎったが。どうやら自分で買ってきたようなので、気持ちの悪い親切心はチラシと一緒にしまっておこう。









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