なんでそんな、いつもと変わらない笑顔で手を振れるんだ。

なんで、なんで、
なんでオイラはこんなにもお前を、
もう訳わかんねえ、考えるのもいやだ、いやなのに。
あいつに向けて一生懸命に手を伸ばしてるのは紛れもなく自分だ。

行くな、行くな、行くな、

そればかり繰り返して、視界は闇に覆われた。

デイダラ、と、あいつの悲しそうな声が聞こえた気がした。
きっと、笑顔のままだろうな。

・・・うん、


***


「デイダラ!!」
「、っ!!?」


勢い良く上半身を起こす。
毒を盛られた時のような症状はなく、少し痺れが残る程度だった。
傍に、空っぽになった注射器らしきものが転がっている。


"大丈夫、"


笑う久遠を思い出す。
咄嗟に甦る先ほどの記憶。

肩を掴む手を視線でたどれば、いつもの倍険しい顔をした旦那がいた。

ああ、オイラは、


「・・・悪ぃ・・・うん、」
「クソが・・・!」


肩を掴む旦那の力が強くなる。
その時、直接頭に響いた声に、大きな安堵を覚えた。


"もうすぐそこにイタチと鬼鮫が着くだろう"
「「!」」
"指示はしない。好き勝手暴れるがいい"


リーダーが言い終わらないうちに、旦那がコートに手を掛けるのを見た。
ふ、と笑うリーダーの声を最後に通信が途絶える。


「引っ込んでろデイダラ。アジトを壊滅させてやる」
「・・・オイラもやる。うん」


百体の傀儡を従えた旦那の敵なんざ、皆無に等しい。
妙な頼もしさを感じながら、オイラはありったけの起爆粘土にチャクラをこめた。


「とくと見せてやる」
「芸術は、」


爆発だ!

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