刀が鞘に仕舞われる。
かちん、という音とともに、固まって動かなかった大柄の男から鮮血がまって叫び声をあげながら男は倒れた。
サスケは返り血を一滴も浴びていない。
彼の剣技に見惚れていたあたしは、歩いてくるサスケに我に返る。


「やっ・・・べえええええ!!サスケすごい!!」
「別に・・・こんなの造作もない。・・・手応えもない」


圧倒的なサスケの強さに惚れました。
心をこめてそう言えば、若干眉をひそめたサスケに華麗にスルーされた。
なんだかあたしの扱いが雑な気がしてならないんだけど。


「みんなはうちはうちはって言うけどさー」


うちはの名に、サスケの肩が少しだけ上下した。
こんなに思いつめてるサスケやそんなサスケを思うイタチ兄さんの皮肉な運命に、少しだけ同情する。彼らはそんな同情いらないと思うけど。


「やっぱり最後はサスケの努力だよねぇ」


背伸びして、サスケの頭を撫でようとすると彼は顔をしかめて、でも成すがままにしていた。え、なんだこれ可愛いじゃねーか・・・!

そして、ここまでサスケを動かすイタチ兄さんに改めて惚れ直しました。


「・・・気安く触るなと何度言ったら、」


しばらくあたしに撫でられていたサスケがとうとうあたしの手を振り払おうとしたとき、ふと目を細めた。
そのままあたしの手を掴んでサスケの背後に回らせる。

ん?なんだなんだ?

なにも理解してないあたしは疑問符を頭にいっぱい浮かべて、赤く染まっていくサスケの目を見た。
イタチ兄さんの顔が、浮かんで消えた。


「・・・誰だ」


薄暗い修行部屋を見渡すサスケに、あたしもつられて周囲を見る。

ゆらゆら、ゆらゆら。

ロウソクが掻き消えて、あたしの肩に回っているサスケの手の力が強まった。

何故か、恐怖は感じなかった。
サスケが守ってくれる安心なのか、それ以外なのかは自分でもよく分からなかったけど。


「・・・手ぇ、離せ・・・」


泣きそうになった。
やっぱりあたしは、暁のみんなの傍がいい。

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