「イタチ兄さんは団子が大好きなんだ!!知ってた?みたらしより三色団子!それを食べてるときのイタチ兄さんの顔ってば、あたしまで幸せになっちゃうんだ〜、あ、でも他のメンバーはいつもと変わらないって言うんだよ?あんなに幸せそうなのに、ねぇ」


よく喋る女だと思った。それもあまり有力な情報にならないことばかりだ。
団子が好き?みたらしより三色?幸せ?ふざけるな。
あいつが幸せであっていいはずがない。人の幸せを奪ったあいつがだ。

聞いてられない。


「それでね?あたしの頭を叩くときは、とっても優しい目をするの」


あいつがそんなこと、するわけがないだろう。
ましてや、優しい目だと?
意気揚々とした様子で嬉々として語るこいつに段々と苛立ちが募る。

この残酷な忍の世界には、あまりにも似合わない女だ。
ここにいること事態がおかしいんだ。
平和ボケにも程がある。聞きたいことを聞き出したら、さっさと殺してしまおう。

オレはおもむろに口を開いた。


「あいつは今、どこにいる?」


話を折られたこいつは少しだけ頬を膨らました。
刀に伸ばしたオレの手には、微塵も気が付いていないようだ。

イタチ兄さんはね、

発せられた言葉に、少しだけ身構える。


「・・・暗い暗い闇の中、迷子になってるよ」


それでもひとつの望みのために、懸命にもがいてる。君と同じだね。

そう言って、こいつはまた笑った。・・・次は、さっきまでとは違う哀愁漂う笑顔だった。


「・・・それでオレが納得するとでも思うのか」
「えー納得してくれないのーサスケちゃん」
「その呼び方はやめろ」


いつの間にか刀から手を離していることに舌打ちする。
すっかり乗せられた気がして、いい気はしない。
どんなに問いただしても、こいつは何も言わないのだろう。なぜか確信があった。


「サスケちゃん、暇だよおー」
「・・・オレは修行に行く」


嫌だと駄々をこねるこいつに、さっきみたいな苛立ちは感じなかった。

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