「ったぁ!?」
「ひ!?」


私のお腹に馬乗りになっていた黄瀬が急に情けない声を上げるものだから、つられて情けない声が出てしまった。クソ黄瀬が。わたしの冷静沈着なキャラ返せこんちくしょうが。
頭を押さえる黄瀬にあたったもの。これまた拳銃で嫌になってくる。視線を部屋の入り口に移せば、見たことのある人が額に青筋を浮かべて立っていた。


「おいコラ黄瀬。何いっちょ前に夜這いとかやってんだ、ああ?」
「か、笠松せんぱ・・・夜這いじゃないっス!誰が好き好んでこんなちんちくりん!」
「ちっ、はあ?」


ちょっと待て今のは聞き捨てならない。確かに胸はないけどちんちくりんとまで言われちゃあ黙っておけない。そりゃあさつきちゃんのあの完璧なボディと比べたら・・・比べるほどもないけど・・・それでも一応私だって女の子。
腹いせに未だに上から退いてくれない黄瀬の太ももを思いっきりつねる。「ってぇ!?」さっきと同じような悲鳴を上げて、黄瀬は私を睨んできた。ざまあみろだ。


「赤司から連絡があったから来てみれば、案の定かよ・・・ったく」
「・・・!、赤司っちから?」
「おー。お前が余計なことしてるかもしれねーからってよ」
「、別に、なにもしてないっスけど」
「この状況でそれ言うんだね。さすがだね。馬鹿なの黄瀬。とりあえず退いて」
「さっき引き金引いときゃよかったっスわ」


ギッと鋭い眼光で睨んできた黄瀬は、わざと体重をかけながら(サイテー)やっと退いてくれた。
若干咳込みながら上体を起こして笠松さんを見る。目が合った途端物凄い勢いで逸らされた。・・・んん?
私の上から笠松さんの傍まで行った黄瀬が無意味に殴られて、今日何度目かになる情けない声を上げている。


「今日は、俺たちと任務だろうが!さっさと、そのー、そこの彼女!連れて出て来い!わかったな!」
「・・・はいーっス」


どだどだどだ。
足音荒く姿を消していった笠松さんをぼけっと見つめる。・・・えーっと、なんだこれ。次の任務は海常と一緒にするのか。・・・激しく嫌だ。一日中黄瀬と一緒にいるとか考えるだけで寒気が。
そして彼、笠松さんってもしかして・・・異性が苦手だったりするのだろうか。え、まじで?


「話聞いてたでしょ。さっさと着替えて行くっスよ」
「あー・・・うん」
「・・・後悔しても俺知らねーから」
「だからしないって」
「どーだか」
「しつこい男はモテないよ」
「生憎女に困ったことはないんスわ」
「うっわ腹立つー」


言いながら、床に転がったままの拳銃をふたつ、同時に黄瀬に投げる。それを危なげなく受け取って黄瀬は部屋から出て行った。
血まみれになった男を思い出す。・・・大丈夫、夢には出てきたりしなかった。大丈夫だ。いつもどおり。まだ冷静でいられる。

薄くため息をつけば、満足そうに笑う赤司の表情を思い出した。
・・・あーあ、良い様に使われてんなあ。
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