目の前に蛇がいた。
びっくりして声も出ない、そのままあたしの体は蛇に巻きつかれて、しっぽで口を塞がれる。
ぬめぬめとした感触が気持ち悪いな、なんてどこか冷静なあたし。
でも体は恐怖でガタガタと震えていた。蛇。考えられるのは、あいつしかいないじゃないか。
あたしに負けず劣らずのあの変態オカマヤローじゃないか。
なんでこんなときにアジトに誰もいないんだよ、飛段とか真っ先に逃げろとか言っときながら逃げる余裕すらなかったし気配すら感じなかったよバカ!!!もうこんなプレイ嫌いだよう!!!訴えてやる!!!


「むごがげぼ!!」
「・・・随分と平和ボケした娘が入ったのねぇ」


平和ボケ。何度も聞いたその言葉を発した相手を睨みつける。
相手―――大蛇丸は微妙に口角をあげてあたしを上から下までジロジロと見た。
見んな気持ち悪い、言葉を出そうにもそれは言葉にはならずに、意味不明な地球語なのかすら怪しいものになって空気を震わせた。
くっそう、悔しい。


「暁も堕ちたものね。こんなひ弱な娘をひとり置いて、一体なんの利益になるのかしら」
「・・・っむう・・・!」


蛇が巻き付いてることも気にせずに大蛇丸に突進する。
でもその行動はあっさりと止められた。男と女じゃ力の差は歴然だ。
しかも忍と一般人。一般ぴーぷる。重要だからもう一回言う。あたしは一般ぴーぽー!!

でも。
あたしのせいで暁をバカにされるのは嫌だった。
どんなあたしでも、ため息をつきながら受け入れてくれる(と信じたい)みんなが、大好きだから。


「あなた、一応人質だってことくらい理解してもいいんじゃない?」


大蛇丸が指を鳴らすと、あたしの体に巻きついていた蛇がさらにきつく巻き付いてきた。
あまりの強さに、思わず声が漏れる。


「っ、んう・・・っ!!」


顔をしかめるあたしに近づいてきた大蛇丸は、あの不気味な笑みで笑いながらあたしの視界を手のひらで覆った。
何も見えない。暗い。
恐怖ばかりが募って、悲鳴すら出ない。いや、口を塞がれてるんだから当たり前だけど。


「私のアジトに来てもらうわ」


そう言った大蛇丸の声を最後に、あたしの意識は闇へと引きずり込まれた。

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