バーを出るとき、氷室さんが微笑みを浮かべながらお守りを手渡してきた。中に入ってるのはたぶん発信機だ。でなきゃお守りがこんな硬いわけがない。顔が引きつるのが自分でも分かった。
発信機持たせるならケータイのひとつやふたつ、持たしてくれたっていいのに。
高尾さんはそんな私を見てまた笑った。いやいやマジでツボ浅すぎだから。


「首にかけておくといいよ」
「ぶっふぉ!」


とりあえずみんなして性格悪いよね。

■■□■

赤司と緑間だったら緑間が運転してたけど、高尾と緑間だったら高尾が運転するのか。いやまぁなんとなくわかってた、わかってたけどね?当たり前のように助手席に乗った緑間に笑いそうになったのは秘密だ。こっちでは漫画と違ってじゃんけんとかしないのか。

そして、おしゃべりな高尾さんのマシンガントークならぬマシンガンクエスチョン。もちろん質問されるのは私だ。緑間は手になんか小さいハニワ持ってるし、なんだこの車内カオスなんだけど。


「楸サン何歳?」
「十八」
「うっわギリ高校生じゃん!体重は?」
「なんでそこで色々すっとばして体重聞いてくるの。答えるわけないってわかるよね?」
「ぶっは!いい性格してるって言われねぇ?」
「ざらに」
「言われんのかよ!ひいっ」
「高尾、ちゃんと前を見て運転しろ。危ないのだよ」
「危ないのだよ」
「真似をするな!」
「もっ・・・!まじ、むり・・・!」


やめて楸チャンまじやめて、とひいひい笑いながら高尾さんは耐え切れなくなったのか車をパーキングエリアに止めた。さん付けからちゃん付けに昇格したらしい。あんまり嬉しくない。
緑間は重いため息を吐いて、静かに車のドアを開けた。と、同時に高尾さんが笑いながらもバックミラーで私を見ているのが分かる。そんな監視しなくたって逃げませんよ。
降参ポーズをとると、高尾さんは少し驚いたような顔をして、直接後ろを向いてきた。
その表情は楽しげだ。


「テストとかいつも上位?」
「想像に任せとく」
「食えねー!ま、そういうの嫌いじゃねぇよ」
「そりゃどうも」


戻ってきた緑間の手には、おしるこが握られている。吹きそうになるのを必死で堪えた。
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