テツヤさんと話しながら(結構私が一方的に)私の部屋になるところへ歩いていると、途中で「ええーーーーー!」と残念そうな声が聞こえた。隣でテツヤさんが息を吐く。知り合いなのだろうか。

角を曲がれば、赤司と黄色い頭の人がなにやら話していた。傍にはなのだよも居る。


「・・・部屋の前になんか集団居るから入れなさそう」
「ご心配なく。・・・たぶん、今回は彼が監視役です」
「ええ?」
「黄瀬くんです」


黄瀬とな。もしかしてあの、なんだっけ、モデルもしてる人。男子のくせにやたらまつげ長い人。イケメンで女子にモテモテらしいけど、赤司となのだよもそれなりにっていうかすごい顔整ってるからあんまり特別な感じはしない。
チラリとこっちを見た赤司と目が合う。反射的に気を付けをしてしまった。これはもうトラウマだ。赤司きょわい。

赤司の視線につられて私を見た黄瀬が、嫌そうな顔をする。何故。何故あんな顔をされなければならないのだ。ムカついたから睨んでおいた。


「俺もっとこう、デンジャラスな任務がしたいんっス!」


デンジャラスって、すげー頭悪そうな言葉つかうな。私も頭いくないけど。
テツヤさんに手を引かれて部屋の前まで行く。間近でも見る黄瀬は、イケメンだった。なんていうのかな、赤司やなのだよとはまた違うイケメン。けばい女子とかが好きそうな顔だ。おっと口が滑った。


「黄瀬くん、本人が目の前にいるのに失礼ですよ」
「だってー・・・黒子っちこの後は?」
「また違う任務が入ってます」
「えっ、テツヤさんどっか行っちゃうの」


すみません、と軽く頭を下げたテツヤさんは、私の手を離してどこかに消えてしまった。・・・気まずい。気まずいぞこのメンバー。
チラリと黄瀬を見上げてみる。するとばっちり目が合ったので慌てて逸らした。


「この人の監視っていつまでっスか?」
「明日の昼までなのだよ。それからは青峰に交代だ」
「長ェー!例のカメラはもうピックアップしてるんスよね?」


例のカメラ?ピックアップ?
新しく耳に入った情報に内心で首を傾げる。赤司の目が真っ直ぐに黄瀬を射抜いた。


「涼太」
「あっ・・・」


しまった、と口元に手をやった黄瀬。この人も絶対スパイとかできない人だ。私と同じ。
なんにもわかってないふりをしておけばいいのかな。目を瞬かせると、黄瀬はあからさまに安心したように息を吐いた。・・・やっぱ絶対スパイ向かない人だな。

■■□■

沈黙。沈黙である。
特に何もないこの部屋にある(居る?)のは黄瀬のみで、あとはベッドと小さな机しかない。何をしてすごせばいいんだ。窓もないから辛気臭いし、時計もないから時間もわからない。
これならまだ何もすることがないけど自分の部屋のほうが何億倍もましだ。

暇だから某バスケ漫画での黄瀬を思い出してみることにした。
シャララ。モデル。キセリョ。えっとあとは・・・コピー、っス口調、・・・根がけっこーゲスかったような気もする。
とげとげしい雰囲気からしても、あまり仲良くはなれなそうだ。けど暇だしすることないからとりあえず話しかけてみよう。


「ねぇ黄瀬」
「あんたに呼び捨てされるなんてごめんっスわ」


私こいつに何かしたっけ!?
あまりにもきつい言い方に口を噤めば、間を空けて「なんスか」と問うてきた。おお、とりあえず会話はしてくれるのか。
嫌いになりかけたけどまだ慣れないだけで意外と良い人なのかもしれない。


「いつもなにしてるの?」
「あんたに話すようなことではないっスね」
「さっきすんごいポロリしてたのに」
「・・・あれは勢いあまっただけだし」
「へー」
「文句ある?」
「ない」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」


はい終了ー。
ダメだ友達二号にはなりえなかったわ。早くもテツヤさんが恋しいよ。
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