寝て起きたら別の世界にいましたぁ☆
なんていうことが実際にあるとは思ってもみなかった。ついこの間まで、偶然会ったヲタクの友人が「トリップしたい!!!」などとほざいていたのを鼻で笑ってやったばかりだというのに。
ふかふかのベッドの上で寝ていたのに起きればそこは冷たいコンクリートだし、周りを見渡しても天窓ひとつしかないこの廃墟に来た覚えはない。夢遊病?いやいやまさか。だって私は聞いてしまったのだ。


「殺すしかない、か」


なんだそれ超物騒なんだけど。笑えないんだけど。
工事現場とかによくある米俵みたいなものの影に隠れて、声のするほうを覗いてみる。
赤い頭と緑の頭をした二人組みの男の人が、なにやら真剣な顔で話し合っている。聞こえてくる単語はどれも物騒で、時に意味のわからないことばかりだ。
それにしてもあの二人、どっかで見たことあるような。いやいやそんなこと考えてる暇があるならこの現状を打破することを考えないと。

まず状況を整理しよう。
春から大学に通うことになった私は自由登校という夢のような時間をフルに持て余していた。もう寝ることしかしてない。これといった趣味も持ち合わせてないからそれはもう暇だ。
かといって遊ぶのも外に出るのも面倒だ。我ながらなんというクズ模様。
でもあまりにも暇すぎて、さっき言ったヲタクの友人に某バスケ漫画を借りて読むことにした。
影薄かったりとか、モデルだったりとか、なのだよだったりとか、黒かったり巨人だったり、オヤコロだったりするその超人プレーバスケ選手達のアレである。なかなか面白かった。ていうかハマった。ちなみに私は桐皇の今吉さんに胸を打たれた。そのことを友人に伝えたらなんともいえない顔をされたけれど。
友人は「赤司様」とか言ってた。様ってなんだ。

あ、すげー話逸れた。
とどのつまり、その漫画を読んでる途中で寝ちゃってたって話だ。


「・・・・・そうだな、心苦しいが・・・もはやそれしか手はない。決行は明日だ。任せたぞ真太郎」
「わかったのだよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと待て、なのだよ?なのだよってバスケ漫画だよね?
しかもまだ高校一年生だよね?これってなんかのごっこ遊びでもしてんの?いやでもそんなことをする年頃でもないよね?

むににに、と頬をつねってみる。どうやら夢じゃないらしい。泣きたくなってきた、ていうか泣いた。神様なんで私をこんなところにつれてきたんですか。
こんな展開まったく望んでなかったよ私は!

某バスケ漫画の、パラレルワールドに、どうやらトリップしてしまった模様です。
どうせなら桐皇学園にトリップさせてくれよ。
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