お腹を抱えて笑う渚と、彼ほどではないにしろ口元を抑えて肩を震わせている橘先輩、怜くん、コウちゃん。
あたしはというと熱い頬を両手で抑えながら、背後からは遙先輩に抱きしめられている。
お昼休み。水泳部+あたしの六人は、中庭の木の下でお弁当を囲んでいた。
結局怒った遙先輩につれられてやってきたプールであたしの勘違いだったことが発覚した後、授業に間に合わなかったあたしと遙先輩はその場で暇を潰していた。・・・主に遙先輩があたしの髪の毛をいじったり頬をつまんだりと、まぁいつもみたいなことをしながらだらだらとすごしていたわけだ。
目尻に溜まった涙を拭きながら、渚が言う。


「久遠ちゃんってほんっとおもしろいよねー!」
「うるっさいわ!」
「ハルちゃんと凛ちゃんが・・・ぷっくく・・・!」
「言うな渚。気持ち悪い」
「まぁまぁハル」
「お兄ちゃんがそっちの趣味だったら私卒倒しちゃうよー」
「えっ!?凛さんとコウちゃんて兄妹だったの!?」
「そうだよ?」
「じゃじゃじゃじゃじゃじゃあなんであの時止めてくれなかったのさ!?」
「だって久遠ちゃん制止も聞かずに走って行っちゃったし・・・」
「久遠さんて鈍いし勘違いばかりですよね」
「怜くん今ほんとブロークンハートだから・・・」
「ああ、すみません」


くっそ、みんな他人事だと思って楽しみやがって・・・!
やけくそになってご飯を口いっぱい蓄える。器官に入ってむせた。もうとことんついてない。
咳込めば、後ろにいた遙先輩が「大丈夫か」と言いながら背中をさすってくれた。その優しさ、今ばかりはとてつもなく痛いです・・・


「じゃあ、二人は付き合うことになったの?」


・・・今とんでもなく理解できないお言葉が聞こえたような。
発信源は橘先輩。凝視してしまったあたしの視線を真っ向から受け止めて、「?」と可愛らしく首をかしげている。
誰と?誰が?付き合うって?なにがどうしてそういう結論に?


「?あれ?違った?」
「違うもなにも橘先輩、あたしと遙先輩ってそういうんじゃないっていうか、ねぇ?」
「俺は久遠が好きだって言ったはずだ」
「そうですよね、・・・・て、ん?え?」
「あの時誤解されたままでもいいって言ったのは、"お前と"そういう関係だって"凛に"誤解されてもいいってことだぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーっと、つまり?」
「久遠ちゃんって鈍感通り越して馬鹿なのかな?」
「ちょ、しーっ!渚くん、今はそっと見守っておきましょう!」


おい聞こえてるぞそこ。
ぎっと睨みつけようと顔を動かすけど、それは遙先輩の両手が頬にあてがわれたことではばかれた。ちょ、ち、また近いです先輩!


「何回も言ってるだろ。俺はお前が好きだって」


・・・つまり。

蒼の瞳は真っ直ぐにあたしを見ている。
真っ直ぐ、あたしだけを。
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