「みかんってさ、揉むと甘くなるんだって」


弁当のデザートとして入っていたみかんをむいていた緑間は、私の言葉に一瞬動きを止めた。


「さては緑間、今いやらしいこと考えたでしょー!!」
「考えるか馬鹿め。そんなの考えるのはお前くらい・・・いや、青峰とお前くらいなのだよ」
「ほんっともう最近の男の子ってみんなそうなんだからさ。揉むってみかんだよ?おっぱいじゃないよ?」
「人の話を聞いているのかお前は!それと昼間っから卑猥なことを言うな!」
「つい」
「つい卑猥なこと言ってしまうお前の頭が心配なのだよ」


はぁ、とため息をひとつ。
緑間はさっきまでの会話で食べづらくなったのか、むいている途中だったみかんをずいと私に押し付けてきた。なんだこいつ可愛いな。
頬の赤み増してんだけど。


「食べる気が失せた。責任を持って、」
「責任持ってお前を嫁にするってか!?」
「話を遮るな!意味がわからないのだよ!」
「えー、じゃあなんなのさ」
「責任を持ってこれはお前が食べろと言おうとしていただけだ。まったく・・・!」
「まったくもって仕方のないやつだなぁうりゃうりゃってそこは軽く小突くところだよ緑間!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「無視はきついよ緑間!」


とうとう私を無視して弁当を片付け始めた緑間は、机の中から本を取り出してしおりの挟んであるページを開いた。くっそ、完全に無視する体勢きわめてきたな。
青峰も今日は黒子と食べるとか言って教室にはいないし、暇だ。
本当は皮ごしに揉むんだろうけど、途中までむいてしまっていたそれを最後までむいて、中身だけの状態で揉む。手がみかん臭だ・・・


「緑間ァー」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・うりゃ」
「っ!?な、にを・・・!」


みかんの匂いがする手を緑間の顔面に押し付ければ、彼は驚いたのか持っていた本を落としてしまった。どうだ!手のひらみかん攻撃!


「っ楸・・・!」
「無視する緑間が悪いんだしー」
「面倒くさい奴なのだよ・・・」


はぁ、と何度目かになるため息をつきながら、緑間は諦めたように本を机にしまった。うぇーい。


「いる?」
「・・・ああ」


緑間に押し付けられたみかんを半分、彼に返す。
おいしいねと笑えば、鼻で笑われた。甚だ疑問だ。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -