ある日奥底に仕舞われていたアルバムの整理をしてると、衝撃的な写真が出てきて思わず固まってしまった。
幼い頃から兄妹同然のように育てられてきた造ちゃんとの写真だ。でも、え、なにこれ。
無意識にスマホを手に取って、カメラを起動させる。
それをメールに添付して造ちゃんに送りつければ、即座に電話がかかってきた。


「もしもし造ちゃ」
《っんだこれ!?》


おおう耳が・・・!
それより元気そうで良かったよ造ちゃん。
スマホを持ち直して改めて「もしもし?」造ちゃんは軽くため息をついた。

手元にあるのは、私と造ちゃんがちゅーしている写真だ。


「一応聞いておくけどさ、記憶は?」
《ねぇよ》
「ですよねー。子どもって容赦ないわ・・・」
《恋愛が何かもわかってねぇ時だろこれ。一瞬びびったけど"好き"だけでこういうことしちまうもんなんじゃねーの。でも青峰には見せんなよ?》
「ふふ、わかってるよ。見せたらなにされるかわかんないし」
《・・・親馬鹿とかじゃねーけどまだ行為に及ぶのは早すぎるから絶対ェやめろよ》
「こっ・・・!?」
《あァ、いらん心配だったな》


くつくつと喉の奥で笑いをかみ殺した造ちゃん。頬に集まった熱をごまかすように、私はベッドにダイブした。
"行為"って・・・オブラートに包んではいるけどすんごい、なんていうか、・・・卑猥なお言葉だ。

ごろんと仰向けに転がって、天を仰ぐ。


「私のファーストキッスは造ちゃんだったのか〜」
《おい、その言い方やめろ。あんなのキスのうちに入んねぇよ》
「じゃあなんて言うのさ」
《・・・・・・・・・・・・・・接吻・・・》
「さっきから造ちゃん言うことが生々しいよ・・・」
《大人の階段のぼってっからな》
「高校生なったからって調子乗ってるでしょ!」


電話口に向かって軽く怒鳴れば、「高校生なめんなよ」と鼻で笑われた。


「え、造ちゃん彼女できたの?」
《聞くな》
「ごめん」


口元に手を当てて笑いを堪えていると、呼び鈴の鳴る音がした。
・・・完璧に忘れてた。青峰が来るから部屋の整理してたのに!


「ごめん造ちゃん青峰来たから切る!」
《は!?写真ちゃんと仕舞えよ!》
「うん!ばいばい!」


写真を枕の下に隠して部屋を出る。

あの写真を捨てる気はなかったし、造ちゃんも捨てろとは言わなかった。
幼い頃の思い出に緩む頬を抑えられないまま玄関を開ける。

怪訝そうな青峰の顔に、私はまた笑った。

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