はぁ、と息を吐けば、口から出た白いそれ。
手をこすり合わせて空を見上げる。曇天。風も強く、今夜は大雪になりそうな予感がした。
寒さを感じないわけではないが、部屋の中はどうも暖房が効きすぎて居心地が悪い。空気の入れ替えの時間まで待てなくて、こうして一人外に出てきた。
が、やはり寒いな。
踵を返して施設内に戻ろうとした時、どだだだだ、と無遠慮な足音が聞こえてきて身構える。


「なにうれえた顔してんのオビトー!!」
「おい、そこしめってるからあぶな、」
「っおう!?」


ずだーん。

顔面から派手にこけた久遠にため息を押し殺せず吐き出した。
ゆっくりと歩み寄って手を差し出す。いつも生意気な口しか利かないこいつだが、このときばかりは素直に礼を言いながらオレの手を取った。


「いってて・・・はでにこけてもーた」
「どんなキャラをねらって言ってるんだ」
「オビトがさみしそうにしてたからきてあげたのー」
「いらんせわだ。ただ部屋のくうきがきたないから外にいただけだ」
「きたないとか言わないでよサソリさんたちそこにいるんだよ・・・」
「よくもまぁ長時間あんなにさんかたんそだらけのばしょにいられるなお前たちは」
「いちいちそんなことかんがえてないもーん」


それよりみて!
そう、大きな声で言った久遠の手には、真っ白な手袋がはまっていた。ああ、小南がなにやら最近ハマっている編み物か。
あいつの器用さには院の先生も皆舌を巻いていたな。思い出し、薄く笑う。
久遠もこれがお気に入りのようで、頬に手を当て屈託なく笑っている。そっと手を伸ばせば、不思議そうな顔をしながらオレの手を握ってきた。


「・・・あたたかいな」
「でしょ!小南てんさいだよ!」
「ああ、・・・」
「オビト?」


握られた手を上げて、そのぬくもりに顔を埋める。
ふんわりと新しい糸の匂い、そして久遠のぬくもり。


「どうしたの、なんかオビトがかわいいんだけど!」
「かわいいと言われてよろこぶ男はいないぞ」


そろそろ風も強くなってきた。
久遠の手から顔を上げて、握りなおす。
ゆっくりと足を進めれば、「雪、積もったらゆきだるまつくろうね」隣に並んだ久遠は笑ってそう言った。

・・・そうだな、寒いが、久遠と・・・あいつらならば、そういうのもいいかもしれない。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -