そういえば、とわたあめを口に含みながら口を開いたデイダラに耳を傾ける。おい口の端に食べカスついてんぞ。そんなだから久遠の萌えレーダーを反応させちまうんだよ。
デイダラに飛び掛らないように久遠の頭に手を置けば、「どうしたんですかサソリさん?」と丸い瞳が上を向く。・・・普通にしてりゃ可愛い奴なのによ。

最後の一口を飲み込んだデイダラは、なんでもないような顔をして言った。


「最近飛段に会ったんだけど、」
「っえ!?」
「え」


瞬身の術でも使ったかのような速さで、久遠がデイダラに飛びついた。
飛段?飛段ってあの、飛段?
かくいう俺も驚いてはいる。長門とイタチも少し目を見開いていた。


「いつ!?どこで!?」
「お前、まだ会ってなかったのか・・・うん」
「おいクソダラ、その経緯を詳しく話してやれ」
「オイラはデイダラだ!」
「デイダラちゃん教えて!あたしも会いたい飛段に会いたい!」
「お、おお・・・」


急かすようにデイダラの肩を掴んで揺する久遠の瞳は、爛々と輝いていた。・・・なんとなく面白くないような複雑な気持ちだ。イタチもなのか、若干眉根が寄っている。

そして経緯を話し始めたデイダラ。
聞けば、この学園祭の締めで使われる花火の依頼をしてきた組にいたのが飛段で、金目当ての輩から一緒に逃げ回るという最悪の再会だったらしい。
それでも久遠は羨ましそうに瞳を潤ませていた。


「デイダラの住んでるとこって孤児院からどれくらい?」
「さァな・・・三十分から一時間ってとこか。うん」
「湯隠れ組かぁ・・・長門ぉ〜・・・!」
「・・・仕方ないな。学園祭の代休に出向くか?」
「うん!!デイダラもイタチもサソリさんも行きましょうね!あと小南も誘おう!」
「おー」
「わかった」


久遠を見たら、飛段はまず驚いてそして思いっきりこいつを抱きしめるのだろう。こいつもそれに全身全霊で応えるはずだ。
そんな光景が容易に想像できてしまい、思わず口角を上げた。


「何笑ってる、サソリ」
「てめーも笑ってんじゃねぇかイタチ」
「・・・らしくないな、久遠といるといつの間にか笑ってしまう」
「あいつは素直すぎるからな。まぁつられる気持ちはわかるぜ」


後頭部で手を組みながら、歩みを再開した一行についていく。
あーあ、今更だが絆されまくりじゃねぇか。だけどこんな温かさもまたいいと思ってしまう。
まぁ、いいか。ここはもう忍の世界じゃないのだ。
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