ニキビができた。
眉毛と眉毛の間に、ぽつんと赤いニキビ。
最近、イタチ兄さんが買って来てくれる団子ばっかり食べてたからかなぁ?鏡の前で首をひねって、ベッドにダイブする。
「こんな顔で兄さんたちに会えないー!」
厄日だ。
今日は起きたらすでに時計の針が九時を回ってて、任務に出かける芸術コンビのお見送りができなかった。それだけでもショックなのに、いざ額に違和感を感じて鏡をみたらこれだもんなー。チッ!
おっと、思わず女の子らしからぬ舌打ちが。
ペロリとペ○ちゃんみたいな顔をして、虚しくなった。なにしてんだあたし。
と、そんな時。
「おーい、入るぜェ」
「声かけて珍しいと思ったら返事聞かずに入ってくるところ飛段って裏切らないよね!好きだよそういうとこ!」
「オレもお前のこと大好きだぜ?」
「皮肉が通じない飛段好きだよ!!大好きもう!!」
「なんだなんだァ?イタチやサソリやデイダラからオレに乗り換えるってか?」
「もう大嫌い!」
「はっ?」
飛段の馬鹿さ加減はあたしの変態加減と同じ具合で顕在だ。好き。
飛段の前で可愛い子ぶる必要はないから、ベッドから顔を上げる。同時に吹き出された。
「・・・ちょっと」
「ゲハハハハハハ!なんだお前それ、大仏様かよ!!ぶっふぉ!」
「なによー!そんな笑わなくてもいいじゃん!!気にしてんだからね!!ほんとに嫌いになるよ!?」
「でもお前っ・・・!ぐっは無理無理、そりゃ部屋から出てこねェはずだわ!」
「死ね飛段」
「オイオイ殺せるもんなら殺してほしいぜェ?って笑い死んじまうかもしんねーわこれは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゲハハハハハhァ!・・・およ?」
もー知らん。飛段なんか知らん。無視してやる。
わざとらしくほっぺを膨らませて布団を被る。真っ暗になった視界で、苦笑する飛段の声が聞こえた。
「んなヘコむなって久遠ちゃんよォ」
「ヘコませたのは誰だよ・・・」
「どんなお前でも可愛いから大丈夫だって」
「そんな殺し文句言われたって舞い上がらないもんねー」
「イタチが寂しげな顔してたぞ?お?」
「・・・・・・・・・・・・・」
もぞもぞ。
布団から顔を出せば、飛段はニッと笑ってあたしの頭を撫でた。ほんと、敵わない。飛段にすら敵わないなんて、あたしもよっぽど馬鹿なのかもしれない。
「おら、リビング行くぞ。団子が置いてあっから」
「イタチ兄さぁぁぁあああん!」
飛段の腕を引っ張って駆け出す。
引きこもるなんてあたしらしくないね、やっぱり!