あげる、と差し出されたのは真っ赤なリボンだった。
なにがしたいのか理解できなくて、傍に座った久遠を見る。すると彼女は微笑んで自分の手を出した。
薬指に巻かれた、オレに差し出したものと同じそれ。・・・なるほど、察しがいく。


「オレはつけんぞ」
「持っててくれるだけでもだめ?」
「・・・利益にならないことはしない主義だ」
「ケチー」


だらんとうな垂れるように垂れているリボンを眺めた。
どこにでもあるような、安っぽいリボンだ。昼間、いないと思ったらこれを買いに行ってたのか。
そういえばこないだ、小南と赤い糸がどうとやらなんて話していた気もするな。

・・・くだらない。


「まぁ、手袋の上からじゃどの道ぶかっこうだもんね」


・・・まったく、こいつはオレみたいな怪しいやつのどこを好きになったというのだ。
小南と長門に出会った日から、こいつは何かとオレのことをかまうようになった。鬱陶しいのは今でも変わりないが、それでも随分と絆されてしまったように思う。
月の眼計画を実行するにあたって、必ず邪魔になってくるであろう存在なのに。

いまだオレは、こいつを殺せないでいる。


「ねーねーマダラ」
「なんだ」
「今日は満月らしいよ。一緒に日光浴・・・月光浴?しようよ」
「・・・・・・」


なんとも皮肉な話だ。
屈託なく笑うこいつは、オレのことを何一つ知らない癖して、ずかずかと心の中に入ってくる。
邪魔なはずなのに、手を下せない。
愛してもやれない。こんなこと、考えたくないのに。

その笑顔が、リンと被って。

そっと頬に手を滑らせれば、久遠は驚いた様子もなく擦り寄ってきた。


「たまには息抜きしようよ。ね?」


そのままオレの手を掴んだ久遠が、またあの笑顔を見せる。
ふいに泣きそうになってしまったのは、オレにまだ人の心があるからなのか。


led Ribbon magic
捨てたはずなのに
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