わたしもあと一回りくらい、若かったらなぁ。
悠太の、眠った顔はあどけなくて幼い。そんな彼の顔を見ると愛おしさと同時に、切なさを感じてしまうのは付き合って間もない頃からだった。
別にわたしは自分のことは嫌いではないし、悠太と付き合っていることに不満は何一つない。
悠太は年齢の割にすごく大人びているから、たまにわたしのほうが子どもじゃないかと思うくらいだから。
ただ、やっぱり。
仕事でうまく予定が合わなかったりとか、急な用事が入ったりとか、そんなことが多々あると、ああってなってしまうのだ。
そんなとき悠太はいつも文句なんて言わずにうなずいてくれるけど、年頃の男子にしてはたくさんのことを我慢させてしまっていると思う。自意識過剰とかではなく、ただ、本当に思うことだ。

傍で眠る悠太の文句のつけようのない端正な顔。さらさらな髪の毛を梳いていると、切なさはより増した。
・・・若返る薬とかないかな。


「・・・・・、久遠さん?」
「あ、起こした?ごめんね」
「ううん」
「っ悠太」
「もっとくっついたら温かいから」


わたしより年下だけど、わたしより何倍も逞しい腕が背中に回って引き寄せられる。
・・・こういうところは、わたしと同年代の男性と同じくらいの色気があるよね悠太って。

そのまま額に軽く唇で触れられ、くすぐったくて思わず身をよじる。
すると背中に回っていた腕に力が込められた。


「ちょっと苦しいよ悠太」
「・・・また考えなくてもいいこと考えてた?」
「え、・・・」
「難しい顔は似合わないよ、久遠さん」


目からうろこ。
寝起きの癖に、よくそこまで見抜けたものだ。・・・そうだ、悠太のこういうちょっとの変化に気づいてしまうところも年頃の男子としては珍しいほうだと思う。

わたしは小さく首を振って、悠太と同じように彼の背中に手を回した。


「・・・悠太はさ」
「ん」
「年の差、気になったりしたことない?」
「あるよ」
「えっあるの?」


意外な返答に、驚きを隠せないで間近で悠太を覗き込むように見上げる。
すると悠太はこつんと額を合わせてきた。近すぎて何も見えない・・・!


「俺はまだお金を稼げる歳じゃないから、久遠さんと同年代の人たちより久遠さんにしてあげられることは少ないでしょ」
「そんなことない!」
「それに、なかなか会えないのも本音を言ったら不安、です」
「・・・・・ごめ、」
「でも」
「む」


ごめん。言いかけた言葉は、悠太の綺麗な人差し指によって阻まれた。
少し離れた顔と顔、さっきよりはっきりと彼の顔が見える。心なしか、少し微笑んでいるような気がした。


「それでも俺は久遠さんから離れたくないから、・・・なにがあっても」
「・・・悠太」
「子どもっぽいでしょ」
「そんなことない。わたしだって悠太のこと大好きだもん」
「ふふ」


恥ずかしくて悠太の胸に顔を埋める。
年の差にコンプレックスを感じることはこの先もあるかもしれないけど、きっと悠太となら大丈夫。そう思わせてくれる悠太が、これから先もずっと好きだ。


それ、ぼくの好きな顔
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