凛に、避けられてる気がする。
風邪もすっかり治って学校にも部活にも顔を出せるようになった。だけど、なにかがいつもどおりじゃないのだ。なにがって、それは。


「、凛」


校門を出たところで、少し前を歩いていた凛に話しかける。
ゆっくりと振り返った凛は、わたしを通り越したところを見ている気がした。

凛、わたし、なにかしたの。
わたしは不器用で性格も良くないから、わたしが知らない間に凛になにかしてたんなら謝るから。だから、だから。
だって、こんなのいやだ。
ほかの人にはわからない少しの違いもわかってしまう仲だからこそ、気づいてしまったから。

言葉が出ない。
黙ったままの私を訝しげに見た凛は、「なんだよ」と低い声を出す。ああ、もう。


「こっちの台詞なんだけど」
「・・・あ?」
「凛、最近変だよ」


見開かれた相貌に、私が感じてた違和感は当たってたんだと思い知らされて悲しさが一気に押し寄せた。
やっぱりわたし、何かしたんだ。もしかしたら、凛を傷つけるようなことしちゃってたのかもしれない。・・・どうしよう、

なのに、口をついて出るのはとげとげしい言葉ばかりだった。


「何も言わないでわたしのこと、避けないで・・・!」
「・・・、それは」
「言い訳とか聞かないから!」


違う。
こんなことが言いたいんじゃない。謝らないと。ごめんって言って、ちゃんと凛の話も聞かないと。


「久遠」
「凛の馬鹿!」
「、おい」
「凛がいつもどおりじゃないの、いやだ」
「っ・・・」


苦しげに眉根を寄せた凛は、一歩、わたしに近づいて、そして何かを押しとどめるかのようにその場で止まった。

・・・距離がある。
わたしと凛の間に、距離がある。

まだ胸の奥にかすかに残る、幼い頃の記憶が甦った。
四人で嬉しそうに抱き合う、幼馴染みたちの姿。そこに、わたしは入れない。っ、だめだ、引きずってちゃだめなのに。

気づけば視界はぼやけていて、驚いた顔でわたしを見る凛の表情がおぼろけに見えた。


「っ泣くな」
「誰のせいなの・・・、」
「ごめん」
「っなんで謝るの?」
「・・・ごめん」


可愛くない。
本当にわたしは、可愛くない。
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