どっきんどっきん、口から飛び出そうなほどに心臓がうるさい。
背中は床、そして見上げた少し先には緑間くんの端正なお顔。ただしあたしと同じように真っ赤っかだ。


「あの、緑間く、」
「す、す、す、少し黙るのだよ!」
「は、は、はい!」


見つめあっていた目は逸らされて、俯いた彼の髪の毛があたしの鼻あたりをくすぐった。あ、やばくしゃみ出そう我慢できないムード保てない!!!


「ふ、ふえ、っ」
「!?なんで泣いて・・・っ!?」
「ぶえっくしょ!!」
「ごっ」


出た。思いっきり出た。盛大なくしゃみ出た。
ついでに反動で起き上がった頭が緑間くんのそれにぶつかって二人して悶絶する。
超絶に恥ずかしいんだけど・・・!!!

もとから恥ずかしさで真っ赤だった顔が、さらに熱を持つ。もうダメだ嫌われる・・・ムードすら保てない彼女なんて最悪じゃないか・・・うう・・・


「だっ、だからなぜ泣くのだよ!?そんなにキスをするのが嫌だったのか・・・?」


悲しそうに細められた瞳。
違う、違うんだよ緑間くん。あたしが悪いんだよおおおおお!緑間くんが頑張ってくれてたのにムード壊しちゃうような、おっさんみたいなくしゃみしてっ、


「緑間くん許してええええ」
「は?なにがだ?」
「もうムードとか壊すようなことしないからぁあ!嫌いにならないでくだざい"」
「ムードなんてもとからなかったが・・・」


言ったそばから女の子らしさの欠片もない泣き方でえぐえぐしているあたしの涙を拭った緑間くんは、唇で優しくあたしのそれに触れた。
・・・っえ!?!?


「まっ、みっ、えっ、みどりまくん!?」
「うううううううるさいのだよ!」
「わっ!緑間くん見えない!真っ暗でなにも見えない!」
「なにも見るな、今の俺の顔は特に見てくれるな」
「真っ赤な顔の緑間くんが見たいのにい!」
「言うな!!!」


そんなこんなで、初体験(キス)することができました。

愛し合う二人なら当然でしょう?
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