下手くそな言い逃れ
暇なうです。
服や下着含む生活用品一式を与えてもらい、部屋も供給されて何一つ不自由ない今日この頃。
ちなみに部屋はデイダラのお隣だったりする。
しかも向かいはイタチ兄さんで反対隣はサソリさんだったりもする。
なにこれ、幸せすぎて鼻血出そうってか聞いたとたん目眩したけど(もちろん嬉しくて)。
まぁ壁に耳をあててもなにも聞こえなかったから相当分厚いんだろうなこのアジトの壁。くそ。
そして冒頭に返るが、暇だ。
なにってかにって、みんな任務でいないんだチクショウ。
うん、暇。
こっちにはゲームもテレビもないからさらに暇だ。
こんなのがずっと続いたらやだな、あたし寂しくて死んじゃうよ?
「・・・デイダラの部屋物色してみようかな」
しんと静まり返った廊下に出る。
電気も窓もない廊下は昼間でも薄暗くて、少しだけ怖かった。
こんな時に木ノ葉とかがアジト突き止めて襲ってきたら確実に死ぬなあたし。笑えん。
「お、」
ドアノブに手をかけて回すと、不用心だなぁ、簡単に開いた。
侵入するあたしもあたしだけど。
むっ、と粘土の独特な香りが鼻の神経を麻痺させた。
いくつもの"芸術"が並ぶデイダラの部屋。
うん、想像はしてたけどね?
見事に期待裏切らないよねぇ。
「エロ本ないかなエロ本っ」
静かな部屋にあたしの声が響く。
うんわかってる、やってること幼稚なことくらい。
ただやっぱ気になるじゃ、
「なにやってんだこら、うん?」
「え」
ベッドの下に伸ばしかけた手を止めてドアのほうを振り返る。
てのひらのお口がポーチの中の粘土をもぐもぐと食べていた。
あれが完成するころ、あたしはこの世にいるのだろうか、否。
待ってください殺さないでくださいいい!
「び、美少年発見!」
「お前が発見されてんだよ!なに勝手に人の部屋物色してんだ!」
「興味本意以外のなにものでもないのでご安心を!」
「喝っ!」
「ぎゃっ」
ちゅどーん!
足元の粘土が小さな爆発を起こした。
ねぇ今本気でやったよね!?
あたし足もげるとこだったよ!?
「ったく、任務早く終わったから帰ってきてみればこれだもんな、うん」
「え、あたしのために?」
「んなわけあるか」
「一刀両断・・・!ツンなデイダラちゃんも好きです!」
「寄るなあぁぁあっ!」
全力で抱きつきに行ったら全力で避けられてあたしは壁とご挨拶。
真面目に痛い。
「デイダラいるってことは、サソリさんもいる!?」
「旦那はいねぇ」
少し汚れた暁の装束を脱ぎながら、デイダラはどかりとベッドに腰かけた。
あれ、あたしここにいていいのかな。
「えーサソリさんに抱きつきたかったのにーい」
「毒されっぞ」
「サソリさんの手で逝けるなら本望です!」
「さっき死にたくねぇっつってただろーが、うん」
「てへ☆」
真面目な顔でキモいとか呟かないでください。