仮面の奥の真実
「サッソリさぁぁあん!」
「うるせぇ!」
みなさんおはようございます。
今日も元気いっぱいの久遠です!
暁の一員になってから、1日が無事終了いたしました。
寝たら元の世界に戻ってるかなぁなんて考えてみたけど、いやあたし死んでんじゃんってことでやっぱり起きてもアジトのリビングが視界いっぱいに広がりました。
安心。
そこらへんにあった食パンを勝手に焼いてると、サソリさんがいらして冒頭にいたる。
ちょっとはねた髪の毛がキュートだ、ああんもうっ!
「サソリさんはなんでそんなにかっこいいんですかっ」
「知るか」
「冷たい!Sですね分かります」
サソリさんは無言でまとわりつくあたしを払いのけると(酷い)、キッチンから包丁を取り出した。
・・・えーと、死亡フラグ?
「ちょ、え、サソリさん!?」
「あ?」
「すみませんあたしまだ死にたくないです!」
一回死んでるけども!
全力で首を横に振りながら後ずされば、サソリさんは何言ってんだと少し笑った。
あ、かっこいい。
「傀儡の刃を研ぐんだよ。手頃なのを選んでただけだ」
「な、なんだ・・・」
殺されるかと思った、と息を吐けば、殺してやってもいいぜと冗談にならない冗談を言われた。
笑えませんから!
「えー!もう部屋戻っちゃうんですかあ!」
「うるせぇ黙れ。部屋に戻って何が悪ぃんだよ」
「あたしが寂しくて死んじゃいますぅ」
「死ね」
「ひどいっ!」
チーン。
あ、パンが焼けたってえぇぇえぇえええ!?
焦げてる!パン焦げてる!
あたしの朝食・・・!
いつの間にかサソリさんはいなくなってた、ちくしょう。
***
「うえ、」
焦げたパンを食べ終えた今のあたしの口、焦げ臭いと思う。
四肢を投げ出してソファーに寝転べば、少し眠くなってきた。
昨日興奮してあまり寝てないからかな・・・
みんな自室にこもって出てこないし・・・寂しいな・・・ちょっとくらい・・・かまってくれた・・・って・・・
「・・・っ!」
一瞬、ぐるぐるの仮面が見えた気がして起き上がる。
ラスボスのお出ましですか、あたしまだ心の準備がね?
「・・・トビ?」
「バレてましたぁー?」
間の抜けた声が響く。
ひょっこりと目の前に現れたトビは、てへっと笑った(見えないけど)。
仮面の下が気になる、気になる!
「あっ!ちょっと何するんですかあー!」
「仮面の下見たいのー!」
「ダーメーでーすっ!トップシークレットです!」
「・・・マダラ」
ぽつりと呟けば、トビは動きを止めてあたしを凝視した(見えないけど)。
仮面の奥の赤い瞳が垣間見える。
一瞬、視界がぐらついた。
「・・・なぜそれを」
「こっちの事情でぇす!」
「幻術が効かないのは、お前の忍術かなにかか」
おい幻術かけてたのかよ、しかも効かなかったのかよあたし最強じゃん!
さあ?と首を傾げれば、今度は頭を掴まれた。
ちょ、異空間に飛ばす気かいっ!
「止めろ、マダラ」
「イタ―――」
「イタチ兄さぁぁぁあんっ」
あなたは正義のヒーローですか、タイミング良すぎですよ!
怖かった、正直。
トビの手を払いのけてイタチ兄さんのところに駆け寄れば、イタチ兄さんは少し視線を寄越してトビに向き直った。
いやん、横顔もイケてます!
・・・って、そんな雰囲気じゃないか。
「・・・異空間にも飛ばせない、か」
「こいつは一般人だ。危害を加えるな」
「そーだそーだっ!トビのバァァカッ」
舌をつきだして抗議すれば、仮面の下の瞳に思いっきり睨まれた怖いぃぃ!
サッとイタチ兄さんの背中に隠れる。
あ、いい匂いする。
「一般人がオレの正体を知ってるわけあるか」
「・・・久遠、」
赤の瞳があたしを貫く。
はうん、心臓に悪いです兄貴!
「ネタバレしちゃわないといけません?」
「話せ。これは命令だ」
トビからの命令とか萎える。
イタチ兄さんとかサソリさんが上から目線で見下しながら言ってくれたら興奮するのになぁ・・・
「・・・久遠」
イタチ兄さんがあたしの背中を押した。
制服が宝物になった瞬間、一生忘れません忘れませんとも!
「じゃあ・・・あたしは、この世界のすべてを知ってるってことで!」
あながち間違いじゃないはず。