「普通にうめぇ」


そう言えば、楸は嬉しさを押し殺したような表情で「でしょう?」と得意げに笑ってみせた。
合宿最終日。
初日に出てきた鯖カレーは少しの異臭がした。松岡に頭を掴まれ涙目になっていた楸を思い出す。アレは実に面白かった。
もっとも、面白がっていたのはオレだけで他の部員は顔面を蒼白にしていたが。特に似鳥。
あいついっつも松岡先輩松岡先輩うるさいくせにいつまで経っても慣れないらしい。
味はまぁ、悪くはなかった。
二日目は偵察に来た松岡の妹、江くんに対抗するようにして岩鳶の偵察に向かったため、宿の人が作ってくれた夕食を食べた。
そして今日。


「・・・まぁ、孫にも衣装って感じだな」
「それ使い方違うと思うけど」
「るっせぇ」


オレも違うと思うぞ松岡。
ジト目で松岡を睨む楸の頭を二回、よくできましたという風に撫でてやると、「子ども扱いしないでください」だってお前妹みたいで可愛いんだもん。
射るような視線には気づかないフリでもしておこう。おうおう、怖い怖い。

言わずもがな、松岡の奴である。


「・・・んだコレ」
「あ」
「どうやったらこんな風に切れんだよ・・・」
「・・・・・・包丁に聞いてください」
「わははは!松岡のちくわ繋がってやがる!はっはっは!」
「部長は笑いすぎです!!!」


飛んでくる平手打ちをかわしながら、オレは腹を抱えて笑った。
繋がったちくわに複雑そうな顔の松岡に恥ずかしさで赤面する楸。
面白くないわけがない。

その後、むくれてしまった楸の機嫌取りに随分の時間を要したのは、言うまでもない。

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