「あ、浅羽兄弟〜!」


見知った後姿を見つけて駆け寄る。
同じクラスの浅羽(兄)経由で浅羽(弟)とも仲良くなったのだ。割と好かれているほうだとは思う。だって他人に興味のないブラコン浅羽(弟)だけど、私とは普通に話してくれるのだから。

いつものように浅羽(弟)の頭を背伸びしながら撫でて、浅羽(兄)に肩パンする。


「いたっ」
「・・・え?」


肩パンした浅羽(兄)にジト目で見られ、私は思わず声を上げてしまった。
え、今痛いって言った?ん?違和感。
少し拗ねたような顔で浅羽(弟)の方をみた浅羽(兄)は、不満げな声で言う。


「悠太、いつもこんな痛いのに表情変えずに受けてたの?」
「別に慣れたらどうってことないよ」


・・・・・・・・んん?
え?なんで浅羽(兄)が自分の名前呼んで浅羽(弟)に話しかけてるんだ?え?なにこれ何が起こってんの?
そして若干いつもと雰囲気が違うのは何故?
ふと頭に浮かんだことをかき消す。いやいやそれはいくらなんでも非現実的だって。美形の双子ってだけでも現実っぽくないのに今以上に現実離れしてどんすんの。

・・・うん、これは、逃げるが勝ちということで・・・、


「待って楸さん」
「うん大丈夫私は何も聞いてなかったし見てなかったから!浅羽(兄)の醜態なんて見てないからなんのごっこか知らないけど!」
「ばっちり見てるじゃないですか」


恐る恐る振り返る。
私の腕を掴んでいるのは浅羽(弟)の方で、普段はこいつから私に触れるなんてことしなかったのにどういうことだ!・・・これはもうつまり、そういうことなのだろうか。帰りたい。

その端正な顔を近づけてきた浅羽(弟)の形をした浅羽(兄)は(やべぇこんがらがってきた)、静かに私の耳に囁いた。


「色々調べたんですけど、」
「な、なに・・・」
「好きな人とのキスでしか、元に戻れないって」
「・・・・・・・・・・はぁ!?ちょ、ええ!?ままままま、待って近い近い近いちか、」





「んで、キスされる手前で目覚めたんだよね」


今朝の夢を浅羽(弟)の方に離せば、いつもの無表情をそれはもう盛大にお崩しになっていた。そんなに嫌か!たかが夢でしょうが!


「ゆーたはそんなことしない」
「知ってるわ!逆にされたら怖いわ!」
「祐希の言うとおり、するならちゃんと許可とってからするよ」
「そういう問題でもないけどね・・・」


どうなったって君は
祐希が拗ねてるのはオレを楸さんにとられたくなかったんじゃないよ、むしろ逆
ええと、ごめん頭が追いつかない
ゆーた!余計なこと言わないで!
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