「あのえっとサソリさん」
「なんだ」
「サソリさんに掴まれてるところが熱いですどうしたらいいですか?」
「知るか」
「このままだと溶けちゃう」


いやほんとに。
いきなり担がれたと思ったらいきなり走り出すんだもの、あ、もうあたし死んでも後悔しないなぁ。

だってあの赤砂のサソリ様々が、あたしを、担いで、走ってるうわぁぁぁぁあ!
ちょ、加速、しないで息できないぃぃぃいぼへっ、


「てめぇはいちいちうるせぇな」
「ずびばぜん、ガチで息できなっうぐ!」
「スピード上げっぞ、オレは待たせるのが嫌いなんだ」
「てゆーかこれどこ行ってんですかぁぁあ!?」
「アジト」


・・・今、なんと?

え、今アジトって言ったよね、うんあたし性格腐ってても耳は腐ってないから聞き間違いじゃないはず・・・!

え、暁のアジトッスかやふーい!


「マジですか!?やっぱ止めたとかなしですよ!?」
「やっぱ止め、」
「ぎゃぁぁあ止めないでーっ!!!」


急いで手を伸ばしてサソリさんの口を塞ぐ。
サソリさんはやる気のなさそうな目であたしを睨んだ。ぐはっ、かっこいい・・・!


「お前、怖くねぇのか」
「なんでですか?」
「大犯罪者の巣だぜ?」
「いいえまったく!」


首をぶんぶんと横に振れば、サソリさんは変わった奴だなとほくそ笑んだ。ずきゅーん。


「近いぞ」
「え、でもなにもありませんよ?」
「バカが、見える所に建てる訳ねぇだろうが」


言いながら、サソリさんは印を結んだ。
うおぉ、生印結びだ、生だよ生!
生きててよかった、いや、死んでよかった・・・!

ごごご、と大きな音がしてアジトの入り口であろう岩が大きく揺れて上に動いた。
ぽっかりと覗いた口から見える通路。薄暗い。
うわぁ、ほんとにアジトって感じだ・・・!


「入るぞ」
「わーいっ」


駆け出したい気持ちをぐっとこらえ、いやだって駆け出したらさ、サソリさんにぐさっと刺されそうだしさ。
辺りを見渡す。あ、これはデイダラの匂いだ!
さっき帰ってきたばかりだからかな、ぐふ、デイダラちゃんの匂いめっちゃするぅ!
嗅覚とか味覚、聴覚視覚は動物並みにいいんだよねあたし。


「まずリーダーと連絡を取る」
「ペインですかっ!いきなりボスきましたね!」
「・・・お前、どこまで知ってんだ?」
「もう隅々まで知ってますよ!」
「・・・まぁいい、お前をここに置いておく許可を貰う」
「えーまじですか!逆ハーどんとこいですよん!」
「あのまま野放しにしておいたら、暁の情報洩れてたとこだったぜ・・・」


だったら殺せばよかったのに、という言葉はなんとか飲み込んだ。
今度はほんとに殺されかねないそんなの嫌だ。
せっかくここまできたんだったら、イタチ兄さんや不死コンビ、小南にも・・・まぁトビにも会っときたいよね。
あーワクワクしてきた!


「サソリさんサソリさん!」
「あ?」
「ありがとうございます!」
「・・・」


少しだけ目を見開いて、サソリさんはすぐに視線を外した。
んもう、照れ屋さんなんだからぁ!・・・うぇ、ちょっと自分キモいかな。

ドキがムネムネだい!

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