なんて言えばいいのか、人間はときたま、何も無いのに萎えるときがある。・・・と、あたしは思う。なんでかって、いまさらになってホームシックとか、全然そんなのじゃあないんだけど・・・よくわからない、テンションがあがらない、なんならいつものあたしじゃない!!

てなことで、リビングに行くのもなんだか気が引けて。
いやだってそんなわざわざテンション低いあたしをみんなにお披露目するわけにはいかないでしょ?そんないかにも慰めてほしいです、みたいな雰囲気かもし出すのとか、痛い子にはなりたくない。もうなってる?うるさいな、今そんなテンションじゃないんだってば。


「・・・・・・だめだこんなのあたしじゃないぞ」
「なにがだァ?」
「どっせい!!」


なんでこんなローテンションな日に限ってあなたはあたしの部屋に忍んでくるのかな飛段!
忍ってかっこいいし憧れるけどその名のとおり気配はまるでつかめない。引きつり笑しか返せないあたしにすぐ違和感を覚えたのか、飛段はなんだなんだァ?と不思議そうな顔を近づけてきた。いや近い。


「お前、ちゃんと笑えよ」
「ちゃんとってなによちゃんとって・・・」
「なんか、今日、不細工だぞ?」
「元からだよ馬鹿!!うえーん!!」


そしてローテンションのあたしは涙腺も緩いらしい。
別にそんなたいして悲しくもないのに、勝手に涙が出てくる。ぎょっとした顔で、飛段は手をさまよわせた。


「ななな、な、なんで泣くんだァ!?オレなんかしたか!?」
「馬鹿馬鹿飛段のぶわぁぁあかああああ!」
「ちょ、おい、他の奴らにバレたら厄介だから泣くならもっと静かに、」
「飛段、なぜ久遠が泣いている?」


遅かった、と小さく呟く飛段を押しのけて部屋に入ってきたイタチ兄さんの腰に抱きついた。
かなりの衝撃で抱きついたのに、イタチ兄さんは戸惑うことなくしっかりと腕を背中に回してくれる。もう大好きいいいい!!


「知らねェよ、オレが来たときからテンション低かったんだよ。イタチなんとかしろよ」
「・・・久遠、どうした?何があった」
「うえっ、なんでも、ないれすけどおおお・・・!」
「てめぇまさかまたホームシックとか言わねぇだろうな?あァ?」
「うわ、サソリまで来やがった」


イタチ兄さんの腕から顔を上げると、眉間にしわをよせたサソリさん。
違うんです、ホームシックじゃないんです、なんだか悲しい気分なんです・・・うう。

あ、涙でイタチ兄さんの装束汚しちゃった。


「ごめんさないイタチ兄さ、服・・・ずび」
「きったねー」
「ううう今だけは愛の鞭が痛いですサソリさん」
「・・・みたいだな、はっ、調子狂うぜ」
「ほんとによォ。久遠変だとオレも変になるわ」
「まあ、そういう日もある。気を取り直せ久遠。・・・こういうときこそ、頼ってくれたらいい」


ぐっと肩に回った手に力を込めてくれたイタチ兄さん。
言葉はきついけど温かい瞳のサソリさんと飛段。

自然と笑みがこぼれてきて、あたしは目に溜まった涙をぬぐった。


「やっぱりみんな、愛してますううう!」


えがおのまほう
いつものテンションに戻ったら戻ったで、嫌そうな顔をされるけど

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