久遠ちゃん、とあたしの名を呼ぶ声がする。
サソリさんの勉強姿を眺めていた(サソリさんは後ろの席だから必然的にあたしも椅子ごと振り返ってしまうことになるうふふふふ)あたしは、なんで邪魔をするんだと嫌な顔を前面に出しながら振り向くと、花ちゃんが困った顔で教卓を指差す。
あ、またやっちまったかな。


「楸はよっぽどオレの授業が嫌いらしいなあ・・・?」
「いだいいだいいだいいだいいだい!!!暴力はいけませんよ先生っ!!」


頭を鷲掴みにされ、五本の指に力を入れられた痛い死ぬ、脳細胞が死ぬ!

そう、今は授業真っ最中なのだ。
クラスが笑いに包まれる。いや笑い事じゃないけどね!?痛いけどね!?君達みんなサディストですか!?踏まれるならサソリさんしか許しませんよ!?


「黙れビッチ。オレばっか見てねぇで前見ろ前」
「はあん罵り最高っ!サソリさんもっと罵って!!」


息を荒くさせて懇願すれば、本気で引かれたのか先生がバッと手を放した。
今度は心が痛いよ。ぶろーくんはーとだよ。


「先生、久遠ちゃんは先生の授業が嫌なんじゃないんです!サソリ君のことが、好きすぎるだけなんですっ」
「山田、それフォローになってない」


近くの席の男子の突っ込みに、ますますクラスは盛り上がった。
こういうクラスは嫌いじゃないし、むしろ好きだ。ノリって大事だよ。

笑いに包まれる教室の中でもむすっとしてるサソリさんはサソリさんで、断然かっこいいし大好きだけどね!!うふん!!!


「サソリさん顔怖いですよおおお!笑って!天使級の笑顔ぷりいず!!」
「お前ほんともう黙れよ」
「痛い!先生!頭無理矢理前に向かせないで!もげる!」
「一回死んで改心してこいこの変態が」


サソリさんのとどめの一言。なかなか辛辣である。でも好き踏んで!!

半ば無理矢理前を向かされすることがなくなったあたしは、いじけながらもノートをとることにした。
やっと授業再開か、とため息をつきながら教卓に戻っていく先生の後ろ姿にあっかんべーしておく。黒板消しが飛んできた。何故。後ろに目でもあんのあの先生!


「わたし、久遠ちゃんがいるクラスでよかったっ」
「ん?なんで?」


可愛い笑顔で可愛いことをいった花ちゃんに首を傾げる。
ああ一分でも早く授業終わってくんないかな。サソリさんの麗しい顔が見えない辛い。


「だって、とっても楽しいもの!」


花ちゃんは少し天然だ。男子にモテるやつだ。

ありがとう花ちゃん愛してるよサソリさんやイタチや長門の次に!


「揺ぎない久遠ちゃん面白くて好き!」


世の中には物好きも居たもんだね。

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