全身真っ黒のあの人の声が、わたしの名前を呼んだ。
振り返らずに返事をすると、足音がどんどん近づいてくる。大きな腕が首に回り、後ろから抱きしめられるような体勢になった時、首に冷たい感触。
思わず肩を跳ねさせて振り返れば、薄く笑った彼の口が小さく動いた。


「プレゼント、だ」


はて、今日は何の日だったかな。
少し焦って考えてみる。わたしは忘れっぽいから、自分の誕生日すらその日オビトに祝ってもらってやっと思い出すくらいだ。

反応のないわたしを訝しんでか、オビトはまたかと小さなため息を一つ。
ごめんなさい、どうしても思い出せないや。


「今日は、オレとお前が初めて出会った日だ」
「ええ、そんなの覚えてないよ」
「オレが覚えてる」
「ごめんね、こんな、高いでしょう」


そこで初めて、胸元に光るそれを見つめてみた。
でも、心なしかネックレスだと思っていたそれは普通のネックレスより明らかに短い。
まるで、首輪みたいだ。

思ったことをそのまま呟けば、彼は喉の奥で静かに笑った。


「別に、ネックレスでも良かったんだがな」
「これじゃまるで、オビトに飼われてるみたいじゃない」
「そんなものだろう」
「まあ、そうだけど・・・」


いつしかわたしたちは一緒にいて、それが当たり前で、忍ではないわたしを養ってくれてる彼はいわばわたしの飼い主で。
だから首輪なの?と若干頬を膨らましながら問えば、オビトは意味深に笑って人差し指でわたしの頬をつついた。

ぷふ、と空気の抜ける音がする。


「少し、違うな」
「? なによ、どういうこと?」


眉根を寄せて彼の顔を覗きこむ。
くつくつと笑いながら、オビトの顔が近づいて、影が重なる。
離れていった唇の温もりに心寂しく思いながら、続きの言葉を待った。


「ネックレスを贈るというのは・・・その相手を縛っておきたい、束縛したいという心の表れだ。この意味、わかるだろう」
「だったら、わたしもネックレス用意しなきゃ。もちろんつけてくれるよね?」
「どうだろうな。オレは縛られるのは嫌いだ」
「なによ、わたしのことは縛っておきたいくせに」
「オレはわがままで傲慢な人間だ」
「知ってる」


再度近づいてきた唇に、わたしはそっと目を閉じた。


一分でできちゃう私の愛情料理


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