残された三日間、オレは久遠の隣から片時も離れなかった。
否、離れたくなかった。
自分がこうだとは思わなかった。もっと大人で、余裕を持って、この孤児院を出る時は笑みさえ浮かべて泣くであろう久遠の頭を撫でてやるのだと思っていた。

前世で我慢しすぎたせいだと、思いたい。


「久遠」


すぐ隣で目を閉じている久遠の頬を撫でてみる。
過剰なスキンシップはさすがにサソリやデイダラをはじめとし、長門やオビトにまで阻まれたが、それでもオレは一秒でも長くこいつに触れていたかった。
阻めはすれど、そばに居ることを許したのは、あいつらだ。きっとオレの心中など考えなくてもわかっているに違いない。
そして、オレと同じような境遇になったとき、あいつらもきっと同じようにこいつの傍を離れないに違いない。

いくら抱きしめても頬を寄せても、珍しいほどに何も言ってこないのはそれなりにわけがある。
自分のことしか考えていなかった暁という集団が、他人を思いやれるようになったのは、なにもかも久遠のお陰だった。

眠りの世界に旅立たんとしていた久遠だが、オレの声で覚醒したのか、目をこすって見上げてくる。
どうしようもないほどこみ上げてくる愛おしさに、涙さえ出そうになった。

やはり、離れたく、ない。


「あのね、イタチ」
「・・・ん?」
「二度と、あえなくなる、わけじゃないよ」
「・・・・・・ああ」
「そう、だって、イタチが言ったんだよ。もし自分があたしの前からきえるようなことがあったら、なにがあってもどんなことをしてでも、会いに来るって」
「そうだな、」


ぎょ、とでもいう効果音が似合うだろう。
目を見開いて固まった久遠の頬に、どうしたんだと手を這わせば、彼女はだってだってと口ごもった。


「な、か、泣かないで、い、イタチ」


普段なら萌えだとか発狂していただろうに、と遠いところで考える。

ああ、全くオレは、いつからこんなに子どもっぽくなってしまったのか。
流れたのは一筋だけだったが、それでもこいつを驚かせてしまうには十分だったらしい。

天照だという冗談も、聞こえていないようだった。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -