サソリさん、イタチ、デイダラ、長門、と代わる代わる甘え倒していく久遠は、一件元気が戻ったかのように見えた。
そしてそんな久遠をいつもなら突き放しているデイダラやサソリが、今日だけは甘えさせてやっている。イコール、彼女の気持ちはまだ晴れていないのだろう。そんなもの、甘える甘えない関係なくわかってしまうが。

夜。
寝る時刻は決まっている。メンバーで陣地を取り、布団を近くに並べて敷く。
久遠はほとんどサソリかイタチの隣で寝る。だが今日は何を思ったのか、オレの隣に自ら布団を持ってきて、敷いた。開いた口がふさがらないとはこの事か、珍しいね〜と足元で白ゼツが鳴いた。


『久遠自らオビトにかまわれに行くなんてねえ』


オレばかりがかまっているかのような白ゼツの次の言葉に、オレは無言でその尻尾を踏みつけた。
に"ゃん、と悲痛な鳴き声が室内に響く。一部始終を見ていた久遠は白ゼツに哀れな視線を向けるだけで、黙ったまま布団に潜った。
物言いたげなイタチの視線に軽く手を振り、オレも同じように布団に潜る。

瞬間、オレの布団に侵入してきた久遠が腰に巻きついてきた。
驚いて声を上げそうになったが、声を上げてサソリやイタチを筆頭にした奴らがこちらを覗きこんではいけない。寸でのところで声をおしとどめ、どうしたと小さな声で問う。

普段、こういった弱い姿を見せるのはオレの前ではなかったはずだ。


「ねえ、ほんとに、いっしょになれるよね」


先日オレが口走った言葉を、どうやらこいつは信じていないらしい。
いや、信じたくても信じれないのか、不安げな瞳にオレは小さく笑う。
当たり前だとは言わない。安心しろとも言えない。イタチのように優しい言葉を投げてやれないし、サソリのように無言で抱きしめるなんて不器用なこともしない。

それでもオレは心のどこかに、確かな自信があった。


「だから、オレを誰だとおもってるんだ、お前は」
「大のうそつき人間」
「なぐっていいか」
「っも、もうなぐってる・・・!」


もぞもぞもぞもぞ、動くたびにこすれる布団の音がする。
何をしているのか聞かれるのも面倒だから、動くなと久遠の肩を掴んで引き寄せた。
されるがままに、久遠はオレの胸元に顔を埋める。


「うそはつかないさ」
「ほんとかなあ」
「・・・つかないと、決めた」
「そっか。期待してるよしょうじきもののオビトさん」


わざとらしく笑い、久遠は目を閉じた。
随分と、生意気になったものだ。いや、元からか。

次の日の朝、中々起きないオレ達の布団をはぐったデイダラが叫び、威圧感のある三対の瞳に睨まれたのは言うまでもない。

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