角都に続いてイタチ、オビト、デイダラ鬼鮫と次々に引き取られているメンバーを笑って見送り、心配をかけないようにしていた久遠だが、我慢も限界だったようで。
サソリが引き取られるとわかったあの日の朝早く、らしくもなくあいつは喚き散らした。
行かないで行かないでとサソリに縋りつく久遠は見ていて痛々しく、そして、涙する久遠を見てオレまで少し泣きそうになったのを覚えている。
隣でオレの胸元に顔を埋めるこいつの髪の毛を梳きながら、久々に孤児院に顔を見せたサソリの事を思い出した。
そうだ、元を辿ればサソリが久遠を拾って来た時から始まった。
興味本位で居座ることを許し、それの結果で今があるなんてあの時のオレは考えもしなかった。結果よければ全てよし、ということわざも頷ける。
そのための犠牲が皆の死だ。
夕飯まで食らっていったサソリは、強面なのに何故か子ども達に寄ってたかられ、迷惑そうな顔をしていた。そんなサソリさんもそそられますと気持ちの悪い笑みを浮かべていたこの腕の中の温もりも、本当に変わらない。
枕元に置いてあるケータイが震えた。こんな夜中に、久遠が起きたらどうするんだと顔をしかめながら手に取る。
見覚えのない番号に、だけど何故だか高鳴る胸。
一瞬久遠を見てから、オレは通話ボタンを押した。
「―――・・・、」
それは、角都が引き取られたその一週間後に同じように引き取られていった、懐かしい者の声。
オビトから聞いたのだというその声の主に、あいつは抜かりないなと苦笑する。
《・・・先日、帰国した。聞けば、オレが通うことになるその学校は・・・》
お前達と、同じところのようだ。
大方久遠の事を思い出しながら喋っているのだろう、優しげな色を含んだその柔らかい声音にオレの口角も上がる。
どんどん再会を果たしていく。オレ達の間にある絆というものは、そう簡単には切れないのだなと思う。
眠る久遠のその顔は、柔く綻んでいる。
いい夢でも見ているのか、きっとそれは現実になるよ、久遠。
「両手を広げて、大きな突撃を受け止める準備をしておけよ」
きっとこいつは、周りを顧みずにお前の腰に突進しに行く。