「うううううんんんまあああああいいいい・・・!幸せ・・・!」


白ご飯最高!炊きたて最高!
両手を掲げてみせれば、呆れたような視線を投げてよこす長門。そんな顔しても可愛いだけだよ!
自分の飯が優先のあたしとは違い、長門は孤児たちに率先して食べさせてあげている。
偉い偉い、あ、拒まれてる、あ、長門の困った顔可愛いいいい・・・!


「久遠も手伝え馬鹿、あっ、こら喧嘩はよせマイ!コータ!」
「このからあげはマイのなのーっ!」
「ボクのだもん!」
「はいはい喧嘩やめてねーいたっ!なにすんのマイ!言う事聞かないならあたしがそのからあげもらっちゃうよ!?」
「「やだーーーーっ!!」」
「事態を悪化させてどうするんだお前は・・・!」


この十年で分かったことと言えば、あたしに子守りは向かないということです、はい。
院内でもあたしより長門に懐く子が多い。そしてあたしもそんな孤児たちにまぎれて長門に甘えっぱなしである。だって長門優しいんだもん!!

ぐずりだしたマイとコータ。片腕に一人ずつ抱き上げた長門お兄ちゃんは、食堂を出てあやしに行ってしまった。あたしもその腕に抱かれたいです(切実)。


「久遠ねえ、お口あいたまんまだよー」
「はっ・・・!いけない、よからぬ妄想してた」
「もうそうー?」
「子どもはそんな言葉覚えなくてよろすぃ!ごちそうさまー!」


いやはや、いたいけな子どもにイケナイ教育をしてしまうところだった。

食器を手に歩く。
途中で先生に止められ、なにやらメモを渡された。


「誰かわからないけど、久遠ちゃんにお電話があったわよ。この番号にかけ直してほしいって」
「? はーい」


見慣れない番号が書かれたメモを受け取って、私は食堂を後にした。


***


先生達の部屋の電話を借りて、もう一度メモを見る。
詐欺とかじゃないよね・・・あたしがキャッチセールスとかに捕まっても長門が上手くかわしてくれたし、ここの情報が漏れてることはないはずだけど・・・

ゆっくりとボタンを押して、受話器を耳に押し当てた。
特有のコール音が三回響いた後、ガチャリとそれを取る音。少し心臓が騒いだ。


《・・・久遠か?》
「っ!!」


息を呑む。
幼い頃の声よりも大分低いその声は、転生前と似てきたそれで。
震える手をもう片方の手で押さえ、騒ぐ心臓をそのままにあたしは小さく返事をした。


「・・・オビト―――・・・?」

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