「おっりゃああああ!」
「ぶっ!?てめぇ久遠、ころすぞ、うん!!」
潮水が顔面に直撃した(ざまぁ)したデイダラは激昂し、仕掛けた久遠に向かって同じように潮水をかける。
とろい久遠もデイダラと同じように水を被り、目に入ったのか痛い痛いと笑いながら涙を流した。泣くのか笑うのかどっちかにしろよ。
胡坐をかくオレの隣で、同じように胡坐をかいているイタチは暑さのせいか若干機嫌が悪い。
あんな子どもみたいな遊びのなにが楽しいんだ、と苛立たしげに呟いている。いや、オレら子どもだけど。
イタチの髪の毛は黒いからか、きっとみんなより倍太陽の熱を吸収してるんだろう。
若干不憫だ。
「オレもまぜろーっ!ゲハハ!」
「わっ!?ちょ、ひだん」
言い終わらないうちに体当たりした飛段により、久遠の体は傾きしりもちをついた。
同時に横を誰かが駆け抜ける。大体想像はつくが、マジで過保護だよな。
しりもちをついた久遠に駆け寄り大事はないかと問い詰めるのは、やはり長門だ。
そしてすごい形相で飛段を睨む。睨まれた飛段は明後日の方向を向き、そそくさとデイダラの方に駆けて行った。
「ぬれちゃった〜」
へらへらと笑いながらこっちに戻ってくる久遠。
「近寄るな、ぬれる」
「む、そんなこと言うオビトには特別にだきついてあげよっぶ!」
「近寄るなと言っている」
「ぼうりょくはんたいだからね!うわーん長門ぉ!」
「・・・オビト、少しはてかげんを、」
「お前は久遠を甘やかしすぎだ」
オビトの言葉に大いに賛同する。
サソリさんまでーと嘆く久遠に、オレは心の中で舌を突き出した。
びしょびしょに濡れた体をタオルでふいてもらいながら(もちろん長門に)、久遠はぐるりと視線をめぐらせた。
日差しが照る中、子ども達は楽しそうにはしゃいでいる。オレたちも今は子どもなわけだか、デイダラや飛段、そして久遠以外のメンバーは暑さからかはしゃぐ気にもなれないと言った様子だ。かくいうオレもその一人。つーか早く帰りてぇ。
「せっかく海に来たのにもったいないよおイタチー」
「、おい、ぬれる」
乾ききってない服をそのままにイタチに抱きつく久遠。
暑さのせいでいつもの寛大さをどこかにやってしまったイタチは、そいつの肩を軽く押す。もちろんそんなことで久遠が離れるはずもなく、諦めたイタチは好きなようにさせている。
なんか、ムカつく。
力任せに久遠の頭を叩けば、でっ!?と女子からぬ声を上げ叩かれた場所を押さえる。
横から長門の鋭い視線を感じたが、無視だ。
「なんですかサソリさん嫉妬ですか大歓迎ですあいたっ!」
「海水あびたら少しは暑さもまぎれるかもしれねぇぞ、イタチ」
「・・・・・・はあ・・・」
腰に久遠を巻き付けたまま、立ち上がったイタチはゆっくりと海に足を運ぶ。
「長門、タオルの用意たのむ」
「・・・くれぐれも危険な目にあわせてくれるなよ、サソリ」
「わかってる」
だいたいこんな海水も膝までに満たない浅瀬で、危険もなにもあるもんか。
そう言って暮れまで水のかけあいをしていたオレらが、全身びしょぬれで院の先生の手を煩わせたのは、言うまでもない。