スポーツ万能、ほんとに万能、顔もイケてる、スタイル抜群、万能、万能、万能。
ただし勉強はそこそこ。いや頑張ればけっこうイケるかも。

そんなオレ 黄瀬涼太はそれはもうモテる。
いや嫌味とかそんなんじゃなくて、なんなら変人って言われてる森山先輩にわけてあげたいくらいの多くのファンがいる。ただし女の子に限る。
黙れ死ねとか言われそうだから、ていうか言われてるからもうオレはモテるという事実を隠したりはしない。そうだ、オレは女の子には一生困ることはないのだ。

だから、人生で初のこの告白だって、自信満々で臨んだ。
成功率120%、失敗することなんて微塵も、そうミジンコも考えなかった。


「絶対嫌です」
「え」


今日この日ほどの悲しみを感じたことはない。一生忘れられない思い出がこんな悲しい記憶なんてごめんだまっぴらごめんだ!
何かの聞き間違いだと思ったオレは、いつもの笑顔を作って目の前にいるこの子、久遠さんにもう一度問いかけた。


「私も好きです付き合ってください?って言ったっスか?」
「黄瀬君、あなたの耳はただの飾りですか?」


もう一度はっきりと、嫌です、そう言った久遠さんにオレは膝からくず折れた。
なんでなんでなんでっスか、縋るように彼女のスカートを握ってみせる。顔は斜め45°、オレを一番かっこよく、そして上手い具合に哀愁漂う姿に見せる角度だ。

ちら、と彼女を見上げれば、それはもう絶対零度の冷たい視線でオレを射抜いていた。
オレは瞬時にスカートをつまんでいた手を離した。殺されそう。なにこれ未知の体験。


「黄瀬君」
「はい」
「私はあなたが嫌いです」
「な、なんでっスか」
「あげればキリがないけれど聞きますか」
「やめとくっス」


緩んできた涙腺、ぼやける視界。
オレにとっての初の告白は、惨敗に終わった。

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