こたつを部屋のすみによけて、カーペットもどこかに置いて、掃除機を手に取る。
中古で買ったものだから大きな音をだしてゴミを吸うそれに、ソファーに堂々と座ってエロ本を見ていた大輝が顔をしかめた。


「うるせー、それ」
「・・・人が頑張って掃除してんのにいい度胸だね、このエロ峰が」
「つーかなんでいきなり掃除とか」
「年末だからに決まってるでしょ」
「あー・・・」


もうそんな時期かよ、とエロ本を放り投げ(おいふざけんな掃除してんのに)近づいて来た大輝に雑巾を渡す。
あ?とドスを効かせた声を発すけど、あたしにそんなのが効くわけないでしょ。
床拭いて、と掃除機で彼の足をつっつけば、渋々ながらも床を拭き始めた。


「・・・ちょっと大輝」
「? あんだよ」
「なんだよじゃないでしょ、なにその拭き方」
「屈むのダリー」
「だからって足で・・・己はガキか」


小学校か中学校のときによくやって先生に怒られたよね、真面目に掃除しなさいって。
掃除に真面目もクソもあるかよって思いながら反抗してた覚えがあるよ。
大輝から雑巾を奪って代わりに掃除機を渡す。
それで高いところでも吸っててよ、床はあたしがするから。
・・・はじめからこうしてりゃよかった。


「ぐあーうちにこんな高ぇ場所あったんだな、腰痛ぇー」
「とか言っときながら楽勝じゃん、届いてるし」
「それでもギリだぜ、おい椅子ねぇのかよ」
「ちょっと今手が放せないんだから自分でとって!」
「んだよ、そんなカリカリすんなよ」


仕方ねぇだろ性に合わねぇんだからよ、と渋い顔をする大輝。


「今夜は盛大に鍋でもしようと思ってたんだけどなあ」
「・・・・・・・・・・くっそ、ダリィな」


ノロノロとしていた大輝は、一瞬で嘘のように、現役でバスケしてた時みたいに俊敏になった。

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