埃がたくさんあってむせそうな物置の中から、お目当てのものを探し出す。
一人じゃちょっと無理があるな、大輝どこにいるんだろう。
窓から入ってくる隙間風に身震いしながら、どこかでエロ本を読んでいるであろう人物の名前を呼んだ。


「大輝ー!」


あー、と抑揚のない声が返ってくる。
ちょい物置来て、と言うと、ゆっくりと歩いてきた大輝が顔を覗かせる。
ずっとそこで探し物をしてたせいか埃だらけのあたしを見て、大輝は怪訝そうに眉を寄せた。


「なにしてんだお前」
「ストーブ、ストーブ出そうと思って」
「あ?ストーブ?」
「ホットカーペットに毛布だけじゃあそろそろ寒い」
「あー・・・」


どけよ、と脇の下に手を入れ持ち上げられる。
自身についた埃を払っていると、高い位置にあった電気ストーブをいとも簡単に持ち上げて、ドスンと床に降ろした。あ、コンセントに埃ついてる。
そのままリビングまで運んでもらって、コンセントをティッシュで拭いて、繋げる。
去年大輝と同棲するにあたって必要なものを買い込んだときに買った、思い出深い(?)ストーブだ。
徐々に熱を発すストーブの前に膝を立てて座る。
後ろから大輝が抱き着いてきて、肩に顎を乗せるものだから、あたしは前も後ろも温かくなった。
ナイス、大輝。


「さみ」
「あたしは温かいよ」
「そりゃおめー・・・ストーブとオレに挟まれてっからな」
「うん、しあわせー」
「そーかよ」


毛布持ってくる、と大輝が立ち上がる。わ、寒い。
一気に背中が寒くなった。
なんとなく大輝の行動を目で追う。そこらへんに放ってあった毛布を手にとってこっちにゆっくり歩いてきた大輝は、毛布を背中から被ってまた私を抱きしめた。
うん、さっきより何倍も温かい。


「あ、やべぇオレ天才だわ。超あったけぇ」
「大輝が天才なのはバスケだけでしょ。他はからっきし」
「んだとコラ」
「った」


後頭部に頭突きをくらった。
もう、手加減て言葉知らないの。

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