適性診断で失態を犯してしまったのは、エレンだけではなかった。
一瞬持ち堪えたものの、エレンと同じように宙ぶらりんにひっくり返ってしまった少女、クオンは普段の明るさはどこえやら、ずーんという効果音が聞こえてきそうなくらいにへこんでいた。
仲の良いサシャが一生懸命にフォローしようとするが、いかんせん頭が悪いため、なかなか良い言葉をかけてやることが出来ない。
むしろ「センスってありますから!ほら!」なんて言ってしまっているものだから、クオンは今にも泣きそうだ。
見かねたジャンが助け舟を出した。
「おらクオン」
彼女の大好物である焼き芋を投げてよこし、目を輝かせるクオンに食えと促す。
クオンは小さく頷き、ちまちまと食べ始めた。
出かけていた涙が引いているものだから、案外単純な奴である。
「その、あれだ。あんなもんお前ならぱぱっと出来るさ」
「・・・・でも、できなかったもん・・・」
「できなくても、やろうとすれば出来るようになるだろ。ほら、そのー・・・お前は諦めだけは悪ぃんだからよ」
いつもの通り必死こいて練習すれば大丈夫だ。だから、頑張れ。
ぽんぽんとクオンの頭を優しく叩く。
小さく頷き、ふんわりと笑みを浮かべた彼女に、ジャンの心臓は跳ね上がった。
「・・・・うん、がんばるね!ありがとう、ジャン」
「お、おう・・・」
その後、クオンに付きっ切りで練習してやるジャンがいたのは、また別の話だ。