目の前がぐらぐらする。
ご飯が喉を通らない。
それでも一種の癖なのか、口元は笑みを作ったままで、あ、でもなんかもう限界かも。
そう思ったのを最後に、世界が反転した。
焦ったようなみんなの声が、聞こえた。
***
ひんやりとした何かが額に乗っかっている。
あー、喉痛いなあ鼻がつまるなあと思いながら目を開ければ、無表情なオビトがドアップで視界に映りこみ、一瞬息を止めた。
「ちょ、けほっ!オビト・・・」
「ああ、おきたか」
「ちか、ちかいってサソリさんとかなら大歓迎だけど!」
「このへらず口が」
「いたっ」
頬をつままれる。
冷たいオビトの小さな手は、熱のあるあたしにはひんやりと気持ちよかった。
どうやら風邪を引いてしまったらしい。
まいばん遅くまで飛段とあそんでるからだ、と水の交換に顔を覗かせたイタチが安心したように、そして呆れたように笑った。
いやんあたし愛されてるぅう!
起き上がってイタチに抱きつこうとすればやんわりと押し倒され、そのまま布団に逆戻り。
不満がって唇を尖らせると、その口ふさいでやろうか、とオビトが楽しそうに言うものだから慌てて掛け布団で唇を死守した。
「じょうだんにきまってるだろ気持ちわるい」
「あたしだっていやだよ!っけほ、」
「・・・もう、さわぐな。ねろ」
ひんやりとしたオビトの手が瞼に乗っかって、まだ熱でクラクラするあたしは素直に目を閉じた。
「はやく治せ」
「・・・ん、」
「でないと唇をふさぐぞ」
「りふじん・・・」