「ゆーきやこんこっ あられやこんこっ」
ずびっと鼻をすする。
寒い寒いと言いながら施設内に戻ってしまったイタチやサソリ、元暁メンバーにいつまでも元気に雪の中を駆け回る久遠を頼まれ、渋々引き受けたオレ(可哀想だ)。
それにしてもおかしい。
長門を筆頭として、みんな久遠に大して大袈裟なくらい過保護だ。
自分の目の届く場所にいなければ落ち着かないはずなのだ。だが何故今日はオレにこいつを任せてそそくさと戻って行った?
考え始めたら止まらない。
・・・いや、ただ単に寒かったのか?現にオレは凍えそうだ。
「オビトー!」
急に名前を呼ばれ、考え事をしていたオレは少し肩を跳ねさせて雪の中に立つ久遠を見た。手招きをしている。なにかいるのか?
マフラーを巻き直して、ゆっくりと歩く。ニコニコと嬉しそうな久遠が、誕生日おめでとう!と言った。
・・・誕生日?
「オビト誕生日でしょ?ほら、見て!」
「・・・!」
真っ白な雪に"オビトHAPPY BIRTHDAY"といびつな文字が彫ってあり、その上に集めた木の実でコーティングされている。
近くには小さな雪だるまが、それはそれは嬉しそうな顔で佇んでいた。
白い息を吐く。
何故か少し滲んできた視界に、オレは慌ててそっぽを向いた。
「生まれてきてくれて、ありがとう!」
小さく頷くので、精一杯だった。