よく言えばウブ。悪く言えば・・・ヘタレ。
でも好き。
アニにそういうと、呆れた顔をしながら惚気話はいらないよって言われた。
でもだってこういうことって誰かに言いたいものでしょ?
付き合ってまだ間もない。今が一番楽しいときだ。
この先倦怠期とか、喧嘩とか、たくさんするだろうから、楽しいこのときを限界まで楽しんでおきたいのだ。
惚気話もその一巻だ。
問答無用でアニの腕を引っ張る。渋々隣の席に座ったアニは、黙々とパンをかじり始めた。
私は食べる間も惜しんでジャンの自慢話(アニによると惚気話)をする。

あのねジャンはね告白してくれるときに人気のない廊下に私を呼び出してね、目を合わせないまま私の手を握ってね、す、す、すって「す」を何回も繰り返してたの。もう可愛いよね。私はいじわるだから、何回も「す?」って聞き返したの。するとジャンは若干涙目になって私を見て、恥ずかしかったのかわからないけどまた目を逸らして、「すき」ってめちゃくちゃちっちゃい声で言ったの。可愛いよね。

あんたの可愛いの基準がわからないって?こんな女々しいジャンを見て可愛い以外の言葉なんて見つかんないよ。アニにも見せてあげたかったなあ。え、見せていらない?まああんな秘蔵の中の秘蔵なジャン、見せてあげたい気もするけどやっぱり見せたくないかな!だって私だけのジャンだも「クオン・・・!」


愛しの彼がしぼり出すような声で私の名前を呼ぶから、嬉しくなってなに?と聞き返す。
顔を真っ赤にしたジャンは、それ以上は言うな言わないでくれくださいと少しおかしくなった言葉で言うものだから、嫌なの?と聞き返せばアニがそりゃあいやでしょ・・・と呆れたようにため息をついた。


「なんで?ジャンは私のことが嫌いなの?」
「っなんでそうなんだよ!」
「きらいじゃない?」
「・・・きらいじゃねーよ」
「私はジャンの事が好きだから自慢したくなっていっぱい話しちゃうけど・・・嫌なら、やめる」
「っ、う、・・・」


恥ずかしげにうつむいたジャンは、「オレも、好きだ」と言って羞恥心が限界に達したのか私の額に一瞬だけキスを落としてどこかに飛んで逃げてしまった。
口付けられた箇所が熱を持つ。


「よそでやってくれ」


誰かの声が聞こえた気がした。

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