甘味屋にでも行くか?
視線を斜め下に下げながら言ったネジの言葉に、私の頭は一瞬フリーズした。
え?甘味屋?
テンテンがニヤけた顔をネジの後ろから覗かせている。
これって、その、もしかして・・・デートのお誘い・・・?
かあっと顔に熱が集まる。返事が無いのを不安に思ったのか、嫌ならいいんだがと呟くネジに咄嗟に頷いた。
「いっ、行く!」
すれ違いざま、テンテンに小さく「がんばれ」と言われた。
足を蹴っておいた。
***
所変わって甘味屋である。
カチンコチンに固まる私と、私ほどではないけど緊張している様子のネジ。
壁に掛けているメニューを見るその横顔に、やっぱり好きだなぁと再確認。していると、急に私の方を見るのだから思いっきり目が合ってしまい、思わず逸らす。
・・・なにやってんのあたし!!!??
これじゃまるで嫌がってるみたいじゃん!!!
あああどうしよう!!
頭を抱えていると、ネジがふ、と笑ったのが分かった。
驚いて顔を上げると、壮麗な笑みを浮かべたネジがぐっはぁ!きゅん死する・・・!
「自分より緊張している奴が目の前にいると、あまり緊張しないものだな」
「ず、ずるっ。ていうかさっきまでネジだって緊張してたじゃん!」
「もう慣れた」
「はやいよ・・・!」
「久遠は三色団子だろ?店員呼ぶぞ」
「え、なんで知ってるの?」
「・・・なんでだと思う?」
少し笑みを浮かべて言ったネジに、私はやっぱりいいです・・・と尻すぼみながら身を小さくするのだった。