目をキラキラさせ、鼻を膨らましたこいつと目が会った時は、もうなにかの覚悟を決めなければいけないときだ。

こいつが犬だったら柴犬だと思う。
ぴんと立った耳を精一杯こちらに向け、キラキラしたつぶらな瞳でオレを見上げ、千切れんばかりに尾を振る。
想像したらあまりにもしっくりきて、目の前にいる久遠のことを一瞬忘れかけた。


「サソリさん!!」
「・・・あんだよ」


今にもよだれがたれそうな久遠(汚ぇ)が、両手をオレの膝に置きうっとりした眼差しでオレを見ている。
一体なにが来る。どんな要求だ。キスとか言うんじゃねぇだろうな。喜んでしてやりてぇがなにせこいつを狙ってるのはオレだけじゃねぇ。多対一じゃ分が悪ぃ。特に長門やオビトやイタチあたり(デイダラには負ける気がしねぇ)


「ひざまくらしてくださいっ」


頭の中で悶々と考え込んでいたオレは、あまりにも簡単な要求に思わず拍子抜けしてしまった。
膝枕・・・膝枕か。きっと後々なにか言われるだろうが、まあそれくらいならしてやらんこともねぇな。

オレは足を伸ばして座り直し、自身の膝を叩いた。


「おら」
「・・・え?」
「あ?やんだろ?ひざまくら」
「え、うそ、」


ぼぼぼっ、と火がついたように赤くなる久遠。
意味がわからないオレは眉根を寄せて久遠を見た。

なんだこいつ。


「ほっ、ほんとにしてくれるとはっ・・・!いざと、なると、はずかしい、です・・・」


しおれていく久遠は、恥ずかしさからくる熱を冷まそうとしているのかぐりぐりと床に頬を押し付けた。
なんだこいつ。・・・可愛いじゃねぇか。


「しねぇのか?」


きっと答えは決まっているだろうが、一応問うておく。
すると久遠はバッと顔を上げ、します!とオレに抱きついてきた。

意外と手入れが行き届いている髪の毛を撫で付ける。嬉しそうに笑うこいつに、オレも頬が緩むのを止められなかった。

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