「ねぇ緑間君」
「なんだ」
「もし今あたしが、緑間君のことを・・・」
「・・・? オレのことを?」


髪の毛をゆっくりと耳にかけ、緑間の使用している机に腰掛け、妖艶に微笑む。
ぐっと一気に近くなった距離に、緑間は若干たじろいだ。


「な、なんなのだよ、」
「・・・すき」
「っ!?」
「って言ったら、どうする?」


クリスマスカラーのように頬を真っ赤に染める緑間に、してやったりな顔で笑った。


***


「ねえねえ涼太」
「んあー?なんスか?」
「好きだよ」
「うん、オレも好き」
「でも涼太とあたしの好きは違うと思うんだ」
「なにが、どういう風に?」


そうだね、と顎に手を当てる。
面白そうに身を乗り出してくる黄瀬。
その唇に人差し指を当てた。


「あたしは、涼太とキスがしたい」
「は、」
「抱きしめてもらいたいし、抱きつきたい」
「・・・」
「せっくすだってしたいんだよ」


もうそれ以上言わなくていいっス。
大きな手があたしの口を塞ぎ、整った顔が嬉しそうに歪んだ。


***


「むっくんこれあげる」


まいう棒を口にくわえて紫原に差し出す。
きょとんとした顔の紫原は、しばらくして状況を理解したのか「なにやってんの」と抑揚の無い声で言った。


「ポッキーゲームならぬ」
「まいう棒ゲーム?」
「そう」
「太いしなんか久遠ちんえろ」


でも、そうだね、やってあげてもいーよー。

満更でもなさそうな紫原が、反対側をくわえる。
食べ進めていくうちに、必然的に重なった唇は、どちらからともなく深く深く絡みあっていった。


***


「青峰って体格良すぎだよね、ほれる」
「そーかよ」
「そっけないなあ」
「お前の言う事にいちいち反応してたらキリねっつの」
「ほんとつれないよね」


ほっとけ、と呟く青峰の手におさまるのは、グラビア雑誌だ。
よくもまぁ女子の前で堂々とそんなものが読める。
自身の胸を見つめ、身を乗り出して少し胸を強調してみた。


「ねぇ、あたしは候補に入んない?」
「は?」
「青峰の、お相手に」
「・・・本気で言ってんのかそれ」


拒まない青峰に、思わず頬を緩める。
うん、と頷けば弧を描いた青峰の唇がそのまま近づいてきて目を閉じた。


***


「赤司はあたしから見る限り完璧な男の子だけど、やっぱり恋人は完璧な人間であってほしいと思う?」
「・・・なんだ、急に」


オッドアイの瞳が細められ、だけどひるむことなく顔を近づけた。
焦ったりしない彼の様子に、やっぱり余裕だなぁと感心してしまう。


「そんなこと、考えたこともないよ」
「ふーん、そう」
「・・・君は」
「? なに?」
「完璧な人間の傍にいることは、きっと疲れるだろう」


遠くを見つめた赤司にくすりと笑い、ゼロセンチになる寸前まで顔を近づける。
それでも落ち着いた様子の赤司の瞳は、だけど少し寂しそうなものだった。


「そんなことないよ。あたしなりに楽しんでる」
「・・・変わってるね」


ふ、とようやく笑みを浮かべた赤司に、自身の唇を押し付けた。

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