鎖骨まである髪の毛をひとつに束ね、ぴょこぴょこと奴が目の前を通る。
今日はちょっかい出してこねぇんだ、と一抹の寂しさを感じていると、背後から突然がばりと抱きついてきた。

デイダラちゅわん、となんとも気持ちの悪い声だ。
一瞬だけ嫌な顔をしてみせて、あとは好きにさせておく。それが最近習慣化してきた。
慣れって怖ぇ・・・うん。


「おい、んなくっつくな久遠」
「照れないでデイダラちゃん!」
「照れてねぇよ」
「そんなこと言って、あまりの恥ずかしさに髪の毛がちょんまげになってるよ?」
「こういう風にセットしてんだよ!うん!!」


かんわいいーーっ!と、オイラの話を無視してまげを触る久遠に、ふつふつと怒りが沸いてくる。
それでもまあいいかと思ってしまうあたり、オイラもかなりこいつに絆されてるってことだ。・・・少し悔しい気もするがな、うん。

なにを考えたのか膝に乗ってきた久遠。
一気に縮まる距離に、顔に熱が集まるのが自分でもわかり、慌てて引き離そうとするも依然こいつは笑ったまま恋人ごっこー!と、首に手を回してきた。
ち、近ぇんだよこのやろうが!!うん!!


「はなれろばか!」
「え?ごっこじゃなくて本物の恋人になりたい?喜んで!!!」
「んなこと言ってねぇだろうが!!うん!!」
「んもーうデイダラちゃんのいけずっ!」
「きしょ、」


きしょい、と罵倒を浴びせる前にふわりと軽くなる膝。
見上げれば、イタチの野郎が久遠を抱えて立っていた。うわ、バッドタイミング・・・
きっと睨みあげる。イタチも今までに無いほどの冷たい目でオイラを見ていた。
その瞳の中には、確かな嫉妬の炎が宿っている。


「殺されてぇか?デイダラ」


旦那の冷たい声が鼓膜を震わす。
久遠はイタチに触れられ興奮しているのか、にやにやと口元をゆがめていた。
おい、お前さっきまでオイラにかまってたじゃねぇか。切り替えはえーよクソが。


「っていうかなんでオイラがこんな目に遭わなきゃなんねーんだよ・・・!」


久遠が絡むと、厄介なことになりかねない。
それでもオイラはイタチや旦那と同じような感情を、こいつに抱いてしまっているのだ。

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