わたしにはデイダラという立場上後輩の恋人がいる。
芸術は爆発だ、とか一瞬の美こそが芸術だ、とか術を発動させる時に喝と言って変に気合入れたり、語尾にわざわざ頷いて見せたり・・・まあ一言で言えば変わった人だけど、そんなところも可愛いと思ってしまうあたり、わたしも相当デイダラに惚れこんでいる。・・・らしい。これはイタチが言ったことで、決してわたしはわたしがデイダラに惚れこんでるなんて思ってはいない。可愛いとは思うけど、それが惚れこんでることにはならないでしょ?ねぇ?
「・・・少しは静かにできないのか」
「だってイタチが変なこと言うから」
団子を咀嚼するイタチは、惚気はもう聞き飽きたと珍しく表情を崩した。
惚気てなんかないよ、ただその日のデイダラの可愛かったところを聞かせてあげてるだけじゃない。
ああなんでイタチとデイダラは仲が悪いのかな。
拗ねて見せれば、イタチは無表情のままあいつが一方的にオレを嫌っているだけだ、と言った。
違うよ、デイダラはイタチの完璧なまでの才能に嫉妬してるだけだよ。
そう言葉を紡ごうとした時、後ろから首に回る腕。
振り返らなくてもわかる、慣れきったぬくもりに、わたしは思わず笑みをこぼした。
「デイダラ」
「・・・なに、話し込んでんだよ。・・・うん」
少し不機嫌な声音。
そっとイタチを見て、ね?可愛いでしょ?と合図を送る。
バカップルが、と口パクで返され、そのまま席を立ったイタチはスタスタと去っていった。
ぎゅうう、と甘えるように強く抱きしめられ、デイダラの長い髪の毛がわたしの頬にあたってくすぐったい。
緩む口元を抑えられず、わたしは彼の腕に自身の顎を乗せた。
「デイダラはやっぱり可愛い」
「、うるせえよ、ばーか」
ちくりと首筋に痛みが走って、きっとそこには、小さな可愛らしい花が咲いているんだろう。
少し子どもっぽいデイダラの、可愛らしい嫉妬の花びら。