鮮血に染まる大蛇丸の部屋から出る。
奴を体内に取り込み、勝利したオレの視線の先には、不安げな顔をする久遠がいた。
大蛇丸なのか、うちはサスケなのか、見極めているのだろう。
そっと近づいて眉根によったしわを撫でれば、安心したようにほっと息をつく。
サスケだよね?という言葉に笑って見せれば、久遠も笑った。
「オレが負けるとでも思ってたのか?」
「・・・五分五分。大蛇丸の執念深さは忍一だと思ってるから」
「・・・ふん。正直な奴だ」
オレよりも下の位置にある頭を小さく叩き、歩き出す。
すると、急に服を引っ張られ危うくバランスを崩しかけた。
文句を言おうと振り向けば、久遠が泣きそうな顔をしているものだから、思わず目を見開いて凝視する。
どうした?と頬に手を当てれば、久遠は伏せていた目を上げオレを見つめた。
「行かないで」
「・・・は?」
「大蛇丸を倒したら、サスケはきっと行っちゃうと思って」
どこに、なんて知らないけど、行っちゃうと思って。
泣きそうに歪められた顔、けれど泣かまいと口を引き結び、今にも零れ落ちそうな雫は目の淵で留まっている。
オレはこみ上げてくる愛おしさに耐え切れず、小さな体を強く抱きしめた。
「・・・お前も、来るか」
「・・・っ!」
「一緒に」
いいの?と見開かれた瞳からとうとう雫が零れ落ちた。
それを拭い、頷く。
久遠はそれは嬉しそうに笑い、オレの肩に顔を埋めた。
「・・・絶対に、護る」
「足手まといだけど、ごめんね」
それでも。